メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

 日本も、思考実験をする社会になるべき時期だろう。

 2011年の東日本大震災によって福島で原発事故が起きた際、想定外の大津波がきたので事故を防げなかったという説明が、関係者からなされた。だが、その説明は、多くの国民の反発や不信感を生んだ。そして、「想定外」という言葉は、当時社会的に注目された。

 人間が何かの対策や問題を考えるとき、何らかの想定をするのは当然だ。だが、どんなに想定しても、想定できないことが起こりうるのも当然だ。だから、どんな想定をしても、それで終わりではなく、絶えず思考し続けて、さまざまなことを想定し、どう対応していくかを考え続けなければならない。つまり、「思考停止」をしてはならないのである。

 そして、その絶えざる思考を続けることで、たとえ「想定外」のことが起きても、より柔軟かつ臨機応変に対応できるようになり、より短い時間内で解決できる可能性が高まるのだ。

 その意味では、事故や問題が起きた場合に、「想定外」で対応できなかったという回答は、思考停止していたことを意味しているのだと思う。

 日本がこれまで想定してきたことはたいてい何らかの先例があったので、対処が比較的しやすい社会であった。しかし、国家の役割が低下し、国際的なガバナンスや重心が変化してファジー化したグローバル社会に突入し、国際経済のメカニズムも不安定になっている。日本社会も、モデルのない超高齢社会に突入し、国のガバナンスも不透明だ。

 このような現状においては、さまざまな可能性や危機を想定、思考し続けていく社会にならなければならないと思う。

 筆者がこのような思いに至ったのは、『日本最悪のシナリオ 9つの視覚』という本(注1)を読んだ時だった。

・・・ログインして読む
(残り:約1524文字/本文:約2249文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

鈴木崇弘の記事

もっと見る