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民主党政権の失敗・挫折を検証するためのブックガイド

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 民主党は「信用できない」、「思い出したくない」、「政権交代ももううんざり」という意見をよく耳にする。確かに2009年の政権交代以降、政治の混迷を考えるとそれらの意見はわからなくもない。

 だが、これまでのいくつかの記事でも記したように、民主主義というものは、過去の失敗や成功から学び、次の政治や政策づくりに活かしていくべきものなのだ。特に先の政権交代は、日本で戦後初の本格的なものであり、今後を考えた場合、党派を超えて学び、その経験を「財産」とし、日本の政治、民主主義を深化し、成長させていく必要がある。

 その作業をしなければ、近い将来また同様の結果が起きるだろう。いや、さらにひどい結末が待っているかもしれない。現状と今後を考えると、日本がそのような時間と資源・人材のロスを許容する余地はないはずだ。

 そこで、民主党政権が誕生する以前、そしてその後の政権運営および失敗・挫折を包括的に考え、検証していく必要がある。ここでは、そのために、参考になるブックガイドを提供する。

 民主党に直接かかわった人材、政権交代実現の整備作りに関わった人材、第三者的に政権交代を検証した者など多種多様な方々が、民主党や政権交代を論じている。その中で、筆者が実際に読んで、時間的なフレームも踏まえ、「政権交代」や「民主党」について立体的に考えられる書籍や論文・記事を紹介したい。これらの文献をトータルに読んでいただくことで、次のような論点が明確になり、日本の今後の可能性がみえてくるはずだ。

(1)政党をつくるとはどういうことか?――野党から政権党になるということ
(2)政権交代とは何か?
(3)政権はどのように運営・維持するか?
(4)政治と有権者・国民・市民との関係とは?
(5)選挙、政策と政党運営との関係とは?
(6)今後の政治や政権交代の方向性や可能性

1.政権交代および民主党の背景

 まず、民主党がどのように生まれ、形成され、成長し、政権交代が起きる素地がどのように醸造されたかを理解するための文献を2冊紹介する。

『民主党政権への伏流』(前田和男著、ポット出版、2010年)

 本書は、民主党政権を誕生させることに関わったり、その政治的素地を創り出した人物に焦点をあてて描いた力作である。

『平成デモクラシー――政治改革25年の歴史』(佐々木毅・21世紀臨調編著、講談社、2013年)

 政権交代を生み出した1980年代以降の政治改革の動きとその中心的役割を果たした民間の団体である21世紀臨調などの活動を活写している。それらの活動が、政権交代を生み出す政治的な素地を形成したといえる。

2.政権交代後の政権運営

『証言 民主党政権』(薬師寺克行著、講談社、2012年)

 民主党政権に関わった人材のインタビュー集である。実際の政策運営に関する本音や問題点が、経験者の立場から語られている。

「国家戦略室の挑戦――政権交代の成果と課題」(高田英樹、PDF、2012年)
「抜擢された若手官僚が明かす挫折の軌跡 『政権交代の目玉「国家戦略室」はなぜ政治主導の「司令塔」になれなかったのか』」(高田英樹、現代ビジネス、2012年10月16日)

 上記の論文と記事は、民主党の政権運営の目玉となることが期待されていた国家戦力室の実務に関わった筆者が、スタッフの目線から、政権運営や同室の活動における実際および課題や問題点を描いている。

3.政権交代の検証

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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