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クラウド・ファンディングで議員立法を支援できないか?

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 先の記事で、議員の国会での活動を評価する試みについて紹介した(注1)。これまで、国会での議員の活動が外部からはわかりにくかったので、新しい試みとして前向きにとらえたい。そして、それらの評価をもとに議員の活動を評価し、次の選挙での自分の投票先を決めることも可能だと思う。

 他方、先の7月の参議院選挙で自民党が大勝し、国会における「ねじれ」は解消した。この結果、今後約3年間は国政選挙がない可能性が高いといわれる。ということは、国民・有権者が、議員を直接的に評価する機会がないことを意味する。社会が急激に変化する現代において、一度の選択が今後の3年間も拘束してしまうのはどう考えればいいだろうか。

 そのような状況により政治が安定し、長らく動きの鈍かった政治が前に進む可能性もある(注2)。しかしながら、政治が民意から乖離した形で進み、政治への不信感が増す可能性もある。もちろん最終的には、来るべき国政選挙で、国民・有権者が、それまでの議員の活動を評価し、的確に判断すれば新しい政治状況が生まれることになる。

 だが、現在のように変化が大きく、その変化が速まっている時代には、選挙とは別に民意を反映したり、民が議員の活動を評価したり、応援する仕組みがあってもいいのではないかと思う。市民運動の活発化や国会による民意を聞く仕組み(注3)などもその一つの方策であろう。

 また議員・候補者や政党に政治献金を出すのも、支援する仕組みの一つだ。近年は、特定の議員を支援するために、ネットによってクレジットカードで政治献金をする仕組みもある(注4)。だがこの仕組みは、個人の政治家や政党を全体として信頼して、白紙委任のように支援するだけだ。これは、ある意味、選挙と同じだといえる。

 しかしながら、国民・有権者からすると、同じ政治家や政党でも、この政策は支援したいが、あの政策は反対ということがありうる。ところが、現在、個別の政策を支援する仕組みがないのが現状だ。

 また、議員は、何度当選しようが、一度しか当選していなかろうが給与の額は同じだ。それどころか、どれだけ議員の活動(たとえば、議員立法、国会質問、質問主意書の提出など)をしても、給与は同額なのだ。逆に、任期中に一度も議員立法をせず、国会で一度も質問せず、質問主意書を一度も出さなくても(注5)、同じだけの給与がもらえることになっている。現実に、記事「“間違いだらけの候補者選び“を改めよう!」に示した議員活動の調査によれば、それに近い議員がかなりの数いることがわかっている。

 ところが、議員が法案をつくろうとする場合、官僚や外部のボランティア人材などに頼れなければ、自力でするしかないのが現実だ。議員が立法するのは本来あるべき姿だが、実際は官僚か外部人材の篤志のみに頼るか、何もしない方がいいことになってしまいかねない。

 理想的な議員の志に頼っているだけでは、政治や政策は動かない。特に民主主義においては、国民・有権者の支援がない限りは、政治・政策は回らない、進まないのが現実だ。

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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