WEBRONZA編集部
2013年12月24日
残すところあと1週間余となった2013年。政治、経済も、社会も文化も実にいろいろな出来事がありました。WEBRONZAはそうした動きを「注目のテーマ」として日々切り取り、分かりやすい問題的を心がけてきました。
今年は、2012年末に発足した安倍内閣が本格稼働。デフレ脱却を合言葉に、一層の金融緩和、財政出動などを柱とするアベノミクスと呼ばれる経済政策が実施され、景況感や企業業績は改善し、現在では成長戦略の具体化や賃上げが次の焦点となっています。
政治的には自民党1強時代の到来で、7月の参院選も危なげなく勝ちました。秋以降は特定秘密保護法成立に向けた動きを加速。野党や多くの専門家や有識者、国民らが表明した反対や危惧の念を押し切り、12月6日に成立させました。緊張感が漂う日中関係や日韓関係、さらには米国の世界戦略への配慮も背景にありそうです。
社会には閉塞感がのしかかり、鬱屈を晴らすかのようなヘイトスピーチが過激になったり、若い人たちを食い物にするブラック企業が問題化したりしています。企業がかかわる偽装や不祥事も後を絶たず、不信の連鎖が広がりました。社会をつなぐ信頼という資本が弱っているように見えます。暮れも押し詰まるなか、2020年の東京オリンピック、パラリンピックを勝ち取った都知事もカネをめぐる疑惑で辞任しました。
自然災害も相次ぎました。異常気象でしょうか。台風や局地的な豪雨による大規模な地滑りなど、突然の天災がいつどう降りかかってくるのか。誰しも無関係ではない切実な問題です。その災害で忘れられないのは、やはり東日本大震災の被災地と被災された方々、福島第一原発の事故で故郷を離れている方々の日々の暮らしであることは論を待ちません。
とりわけ、原発事故は現在進行形の難題で、汚染水の処理や、廃炉へ向けた模索がこれからも続くことになります。冷静な目で事態を精査し、国内外の英知を結集して息の長い取り組みを進めるしかありません。毎年のニュースの総括では今後も必ず触れられる私たちの共通体験です。「注目のテーマ」でも最も多くの注目を集めたのは、福島をめぐるものでした。
スポーツやテレビドラマの世界では明るい話題もたくさんありました。ソチ五輪への代表が決まったフィギュアスケートやNHKの朝ドラのヒロインや金融界の国民的ヒーローを誕生させるドラマなどは、明るい気分を運んでくれる、これも共通体験でしょうか。
WEBRONZAが今年取り上げてきた「注目のテーマ」のうち、特に数多くのアクセスを集めたテーマから、編集部が選んだベスト10と、そのテーマに関連した記事のひとつをご紹介します。いま一度、それぞれのテーマをチェックし、記事をお読み直しいただければ、と思います。2013年がどんな年だったのか、が浮かび上がるはずです(それぞれ上がテーマ、下が記事のひとつ)。
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参院選で「脱原発」を前面に掲げて東京選挙区で当選した山本太郎氏(38)。福島原発事故の後から「脱原発」を訴え、所属していた芸能事務所も辞めた。そして昨年12月の衆院選落選を経て、今回は所属で出馬、ネットを存分に利用して、全国から1200人を超えるボランティアにも支援されて勝利した。彼の主張や選挙の手法を評価する声がある一方で、これまでの放射能汚染や福島に関する彼の発言が福島県民や「脱原発派」などから批判されてもきた。持ち上げるのでもなく叩くのでもなく、ここは冷静に彼の当選を考えてみる。
・山本太郎議員への手紙-「放射性廃棄物と同じ基準値の食品」という表現をマスコミがしない理由(高橋真理子)
NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の評判がいい。視聴率は19・3%(5月6日まで。関東地区、ビデオリサーチ調べ)で、前作「純と愛」のシーズン全体の平均17・1%(同)を上回っている。岩手県久慈市をモデルにした「北三陸」を舞台に、東京から移住した能年玲奈が海女を目指す成長物語。脚本は、ファンの多い宮藤官九郎で、岩手の方言が使われたセリフも話題になっている。いつも朝ドラには辛口のWEBRONZAで、「あまちゃん」の何がいいのか、落とし穴はどこにありそうか、じっくり見てみよう。
・不思議なぐらいイヤな感じがない朝ドラ『あまちゃん』(青木るえか)
「やられたらやり返す。倍返しだ!」。この劇中の言葉は今年の流行語大賞の有力候補だろう。池井戸潤の小説を原作としたTBS日曜劇場のドラマ「半沢直樹」が好調だ。視聴率もNHKの朝ドラ「あまちゃん」を抜いて、今年のドラマでは最大のヒットとなった。バブル期入社の銀行マン(堺雅人)が大組織のなかで苦闘していくこの物語がなぜ今ここまでウケるのか、そもそもドラマの出来はそんなにいいのか、否定的な意見も含めて侃々諤々、論じてみる。
・「半沢直樹」の次は本当の悪役=金融庁のドラマをみたい(森永卓郎)
フィギュアスケートの浅田真央(中京大学)が、2014年2月のソチ冬季五輪を区切りに引退する意向を表明した。今年に入ってから引退へと気持ちが傾いたという。22歳という年齢からすれば、2018年の韓国・平昌(ピョンチャン)五輪まで目指すと見られていただけに、引退表明はあまりに唐突だった。10代前半から第一線で戦ってきたことの疲れなのか、若手の台頭から来るプレッシャーなのか、さまざまな臆測を呼んでいる。彼女に何が起こったのか。
・納得できる浅田真央の引退表明。現役続行の鍵は(青嶋ひろの)
山中伸弥さんのノーベル賞受賞発表から早くも1年たつ。今年の自然科学3賞の発表は、10月7日からだ。20世紀の訪れとともに始まったノーベル賞は、長い間日本人にとってはるか遠くにまばゆく輝く別世界の慶事だった。それが21世紀に入ると変わってきた。とくに2002年の島津製作所の田中耕一さんの受賞は、一気にノーベル賞を身近な存在にしたといえるだろう。2000年までの100年間で日本人の自然科学3賞受賞者は6人。その後の12年間で、米国籍の南部陽一郎さんも含めると10人が栄誉に輝いた。さて、今年はどうか。
・2013年ノーベル医学生理学賞と化学賞を大胆予想する(佐藤匠徳)
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