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国産機銃は廃止すべきだ(上)――製品不良で多くの自衛隊員が死傷する

清谷信一 軍事ジャーナリスト

 防衛省は3種類の機関銃を調達しているが、その性能や品質についてすべて偽装されていた。虚偽記載をしていた住友重機にはまともな機関銃を生産する能力はなかった。防衛省は同社からの調達を全面的に中止すべきだ。

 朝日新聞によれば、「防衛省によると、改ざんや虚偽記載があったのは3種類の機関銃。74年度から調達契約している7.62ミリ機関銃の約1350丁と、84年度から契約している12.7ミリ重機関銃の約4千丁は、同社が納入当初から要求性能を満たす機関銃を量産できないと認識しながら、試験の書類にうそを書いて合格させていた」という(「機関銃データ改ざん5000丁 防衛省、住友重機を指名停止」)。

 記事中の7.62ミリ機銃とは戦車や装甲車などの同軸機銃や、拠点防御、ヘリコプターのドアガンなどに使用される国内開発の74式機銃である。これは普通科で使用されている62式機銃を元に開発されたが、62式はまともに連射もできず、パーツがボロボロと落ちてくるような欠陥兵器だった。これは陸自の人間ならだれでも知っている「公然の秘密」だ。

 だが陸自は62式の欠陥を公式には認めていない。そのような欠陥銃を元に開発された74式機銃の性能は疑われてしかるべきだった。

 74年度から調達が開始された74式機銃も、84年度からライセンス生産で調達された12.7ミリのM2重機も当初から性能を満たしていなかった。またライセンス生産の5.56ミリのMINIMI(ミニミ)も同様だ。

 つまり当初からまともな性能が発揮出来ない装備の試験結果を誤魔化して、今日まで納品してきたわけだ。同社は空自の20ミリ対空機関砲VADS1改もライセンス生産しているが、こちらの品質や性能も疑われるべきだ。

 当然ながら、実戦で使用すれば同社の機銃は不調が起こる可能性が高い。製品の不良によって多くの隊員が死傷するだろう。だが住友重機はそのようなことを知りつつ、何十年も防衛省と納税者を騙してきた。仮に戦争が起こった場合、多くの隊員や家族から訴訟されることは免れまい。それこそ「死の商人」と呼ばれて糾弾されても文句は言えまい。訴訟で企業の存続自体が危うくなる可能性すらありうる。

 住友重機の所業は納税者に対する犯罪行為だ。血税を約40年間にわたって騙し取り、国防を危うくした罪は極めて重い。だが防衛省は指名停止5カ月と損害賠償金約6200万円の支払いという、極めて軽微な罰則で済ますことにした。防衛省には当事者意識が欠如しているとしか言いようがない。

 だが、これはひとり住友重機だけの責任と言えない部分もある。このような事態を放置してきた防衛省、自衛隊(特に歴代陸幕装備部)の責任は大きい。先にも書いたように、住友重機の機銃の性能や品質に問題があることは公然の秘密だった。筆者も現役、OB問わず多くの自衛官からこのことを聞いていた。

 当然ながら防衛省や自衛隊がこのことを把握していなかったとは考えられない。もし把握していなかったのだとしたら、陸海空自衛隊の装備部はよほどの無能ぞろいだったことになるだろう。

 もう一つ防衛省・自衛隊側に問題があった。

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筆者

清谷信一

清谷信一(きよたに・しんいち) 軍事ジャーナリスト

軍事ジャーナリスト、作家。1962年生まれ。東海大学工学部卒業。03~08年まで英国の軍事誌Jane's Defence Weekly日本特派員。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関、Kanwa Informtion Center上級顧問。日本ペンクラブ会員。著書に『専守防衛─日本を支配する幻想』『防衛破綻―「ガラパゴス化」する自衛隊装備』『自衛隊、そして日本の非常識』『ル・オタク フランスおたく物語』、共著に『軍事を知らずして平和を語るな』『アメリカの落日―「戦争と正義」の正体』『すぐわかる国防学』など。最新刊に『国防の死角――わが国は「有事」を想定しているか』。

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