2014年02月06日
それにしても、いったい、いつまで続くのでしょうか。
「総連の本山」こと朝鮮総連中央本部ビル(東京都千代田区富士見)の土地・建物の競売が、またも暗礁に乗り上げました。東京地裁は1月23日、総連ビル2回目の競売で最高価格(50億1千万円)を提示、落札したモンゴル企業「アバール・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー(以下、アバール社)」に対し、売却を認めない決定を下しました。提出書類に不備があったからだと地裁は説明しています。
その6日後、期限直前の29日に、アバール社側は不服申し立て(執行抗告)を行いました。これにより、東京高裁が、今回の地裁決定が適切だったかどうか審理することになりました。高裁がアバール社の訴えを認めなければ、3回目の入札となる見込みです。
公安当局に「ペーパーカンパニーではないか」と疑われるアバール社がなぜ、他社がとても対抗できない「常識破りの高値」で入札したのか。入札が繰り返されることで最も得をするのは誰なのか?
ともかく指摘できるのは、
「入札が繰り返され、決着が延々と長引く間、少なくとも朝鮮総連は中央本部ビルから追い出されず、とどまることができる。最も得をしているのは朝鮮総連だ」
ということです。
ある関係者の話はこうです。
「アバール社入札の絵を描いたのは総連中枢と、金融関係に詳しい裏の協力者たちだろう。香港やシンガポールでファンドを組み、資金を準備する計画もあったようだ。債務者の総連は中央本部ビルの入札に参加できない。自分たちの代理人になってくれるダミーが必要なのだ。アバール社のような外国企業をダミーに使えばマスコミや当局も全容把握に苦労する。落札できればよし、もし資金が集まらず、競売が流れても、それはそれでよしだ。少なくとも次の入札まで時間稼ぎにはなる、というわけだ」
「アバール社社長は元横綱・朝青龍の親類だ。朝青龍は総連と接点がある。総連中枢に近い人物から朝青龍側に依頼があり、入札参加のためアバール社が設立された可能性が高い」
とすれば、なぜ総連中枢は、とにもかくにも、競売を延々と引き延ばしたいのか。
まず、
「日朝関係に劇的な進展があれば、日本政府の政治決断により、今後も引き続き中央本部ビルにとどまれる可能性が十分ある、と総連中枢は期待している」
ことが挙げられます。
もう一つ。
この5月24~25日に、総連の全国大会である「全体大会」が開かれることです。全体大会は3年ごとに開かれていて、本来なら2013年5月開催のはずでした。ところが13年3月下旬、最初の競売入札の結果をめぐり騒ぎになるなか、総連中枢は、混乱を避けるためか、
「全体大会開催を『4年ごと』と規約を変え、それによって、13年5月に開かれるはずだった大会を1年、つまり14年5月に延期した」(情報関係者)
わけです。
朝鮮中央放送は2014年元旦、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が許宗萬(ホ・ジョンマン)朝鮮総連議長に対し、「今年は総連第23回全体大会が開かれる意義深い年」と祝電を送ったと伝えました。さすがに今度は総連も、何らかの理由をつけて延期するわけにはいかないでしょう。
もし総連中央が今年5月の全体大会前に、中央本部ビルにとどまれないことが確実となれば、大会で許議長への不信感が噴出、大荒れになる可能性も一概に否定できません。指導部としては、「本山を失った形で大会を迎える」メンツ丸つぶれの事態だけは避けたいところです。
東京地裁のアバール社への売却不許可決定時(1月23日)、3回目の競売は早ければ4月中にも行われると予想されました。しかし、不服申し立ての結果、ゲタは東京高裁に移され、手続きが多少とも遅れるのは避けられないとみられます。不服申し立てが「さらなる引きのばし狙いではないか」と映るのは、勘ぐりすぎでしょうか。
実は、「本山」の競売以上に、いま総連指導部が神経をとがらせている問題があるといわれます。
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