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NHKの本当の危機は、内部にいる「呼応勢力」の存在だ

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

 1月25日の籾井勝人NHK新会長の就任記者会見での発言が物議を醸し、国会に参考人として出席して陳謝する事態にまで発展した。籾井会長は会見のなかで、従軍慰安婦問題や領土問題にまで言及していたことから、外交問題化しかねない深刻な影響をもたらしてしまった。

 ここであらためて就任会見での発言内容を引用して論評を加えることさえある種の「徒労感」を覚えてしまうほどのレベルの発言だった。放送法云々という以前の、公共放送局のトップとしての適格性に関わる発言だったと思う。

 だが、ひるがえって考えてみれば、この人物がそもそも会長として就任するに至るまでの道筋からして、あのような「放言」「暴言」が飛び出すことも予想できたことかもしれないのではないか。

 首相官邸サイドの強い意向が働いていたことは、それ以前のNHK経営委員の人事の経緯からも頷ける。会長の人事はこの経営委員会が決める権限をもっている。12名の委員のうちの9名以上の賛成があれば会長が決まる。その経営委員たちの構成が露骨な形で官邸色を強めてしまったことは、すでに各メディアが報じていたことだ。首相の元家庭教師だの、右派色の濃い学者や作家、財界人らが経営委員に名を連ねた。これ自体が戦後のNHKの歴史のなかでもきわめて異常な出来事だ。

 NHK会長はこれで3代続いて「外部」からの登用となったわけだが、放送事業の現場を知らない「外部」の人を、アジア最大の放送局のトップに据えたのは、ただただ官邸サイドの意向のみで可能になるわけではない。

 その「外部」から来た「裸の王様」を迎え入れよう、あわよくばその力を借りてNHKの組織をある一定の方向に持っていこうとする「呼応勢力」が存在することが、本当の意味でNHKにおける危機的状況なのではないか。

 その「呼応勢力」とは誰か。彼らはどのような方向にNHKを導こうとしているのか。

 それをひとことで言えば、NHKにおける

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