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日本をエンカレッジングな社会に!――ユース・ベンチャーの試みから

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 日本はとてもいい国だ。しかし、他方では、日本はディスカレッジング社会だと思う。それは、日本に民間非営利独立型の政策研究機関をつくろうとしてきた、この30年近くの筆者自身の経験からもいえることだ。

 日本では、何か新しいことをしようとすると、それが批判されたり、抑えられたりすることが多く、褒め励まし、エンカレッジしてくれることが少ない。また、いい評価をしてくれても、実際に物心両面で応援してくれることは少ない。

 また障害を乗り越えて行動を起こしても、失敗した場合、金銭面も含めてリカバリーし、再チャレンジするのが非常に難しい社会だ。特に、若い世代が、何かを始めようとする場合、経験でも金銭面でも制約が大きい分、それを実現していくためのハードルは高い。

 そんななか、面白いイベントに出席した。アショカ・ジャパン(注1)が取り組んでいるユース・ベンチャー(YV)の「第2回 We are the Change…第9回パネル審査会・第3期最終報告会及び第5・6期中間報告会…」である。

 YVは、「失敗に厳しくリスクをとらない生き方を奨励する日本において、若者の心の奥にある炎に酸素を吹き込むカタリスト(触媒)としての役割を担う」試みだそうだ。パネル審査をパスして、YVとして認定を受けた若者は、自分のアイディアを自由に試す1年の環境、出資金、そして必要な場合は法律などの専門知識のアドバイスを与えられる。つまり「『想い』を行動に移す為のサポートシステム」を提供しているのだ。

 ここでいう審査会は、通常のコンテストのように「アイディアの優劣をつけるのではなく、判断基準は彼らの強い想いを裏付けるアイディアや行動」となっている。つまり、この審査では、審査を受ける者の「自分」が問われているのだ。今回の審査会では、3名が審査され、2名がパスしていた。パスした者は、自分と活動・アイディアが一体化していたが、パスしなかった者は、プレゼンは素晴らしかったものの、一体化していなかったように感じた。

 そして、審査をパスして、YVとして認められた後は、具体的な成果を出すというよりも、試行錯誤を通じて、自分がいかに変わっていくかに重点があるようだ。まさに想いのある者に、エンカレッジを与える仕組みになっているわけだ。このように考えていたら、オバマ米大統領が再選後に、若き選挙スタッフに送った次のような言葉を思い出した。

 “And, you know, the…the work that I did in…in those communities changed me much more than I changed the communities.”
(そして、ほら、そういう地域社会でした仕事が私を変えてくれた部分の方が、私が地域社会を変えた部分よりもよほど大きい)(注2)

 まさに、アショカのYVは、オバマが地域での活動を通じて成長したように、若い世代に機会を与えて、エンカレッジして、インスパイアさせ、自分で経験をしながら成長していく仕組みなのだ。

 このYVの仕組みには、もう一つの利点がある。

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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