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ブッシュ王朝の後継者ジョージ・プレスコット・ブッシュの強みとは?

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 3月4日のアメリカ・テキサス州土地問題担当長官(land commissioner)というポストの共和党予備選挙が注目を集めた。なぜならば共和党の指名を獲得した人物が37歳のジョージ・プレスコット・ブッシュという名前だったからである。テキサス州では共和党が強いので、この人物の11月の本選挙での当選が確実視されている。

 この人物は既に二人の大統領を出したブッシュ家の一員である。父親は2016年大統領選挙の共和党候補者として噂の出ているジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事である。

 ということは、祖父が第41代の大統領となったジョージ・H・W・ブッシュ(父親大統領)であり、叔父が第43代の大統領としてアフガニスタンとイラクの戦争を始めたジョージ・W・ブッシュ(息子大統領)である。ここでは区別のためにミドル・ネームの「プレスコット」で言及しよう。プレスコットに期待が集まるのは、もちろんブッシュという名前だからである。

 実力主義の国アメリカでも、親の七光りは、まぶしいくらいに明るく輝いている。ブッシュという名前は選挙の際には貴重な財産である。キャンペーンを始める前に有権者に既に名前を知られているというのは、圧倒的に有利である。

 かつてケネディ大統領の末の弟エドワード・ケネディが最初に上院議員選挙に立候補した際に、ライバル候補は、名前がケネディという以外に、この男には何の資格もないと罵倒した。

 しかし、当選したのは罵倒されたエドワード・ケネディだった。日本の選挙でいう地盤、看板、カバンのうちの看板、つまり知名度は、プレスコット・ブッシュもブッシュという名前だけで十分すぎるくらいである。ブッシュ家の財力は有名であり、カバン(資金)という面でも問題はない。息子ブッシュ大統領がテキサス州知事を務めた経歴を考えればテキサスから立候補する限り、地盤も固い。

 プレスコットには、こうしたブッシュ家の地盤、看板、カバン以外に、もう一つの資産がある。それは母親の血である。

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