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憲法論議深化のために若い世代の声を活かそう!

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 第二次安倍政権の成立以来、憲法改正論議が熱を帯びている。現状の勢力図からすると、その実現可能性が高まっているといっても過言ではない。

 だが、この憲法改正論議に関して違和感を感じるところがある。それは、その論議があくまで、権力のある側から一方的におこなわれ、それがメディアを通じて国民に伝えられている面が強いのではないかということだ。

 立憲主義的にいえば、憲法は国民と権力者との間の契約であり、権力者を縛るもので、国民の権利を守るもののはずである。このことは、大日本帝国憲法(明治憲法)を制定する議論の過程で、制定の中心人物であった伊藤博文も明確に指摘していることである。これらを考慮すると、現在の憲法も、同様の主旨のもとに作成されていると考えられる。

 したがって、権力の側だけでなく、いやむしろ国民の側から、憲法とその改正に関してより積極的に考え、議論していくことが必要だといえる。

 また、憲法は、その国なり社会なりの理念や方向性を体現したもので、他の法律などルールを作成するための基準になるものだ。そして、改正されることもありうるとはいえ、法律よりも長期的な方向性に関わるものである。

 選挙は、自分たちの代表を決め、政治の方向性を決めるという意味では非常に大切であり、長期的な視点も踏まえて判断されるべきだが、どうしても短期的な視野が重視されがちである。それに対して憲法は、国や社会に大きくかつより長い期間、影響を与えることになるので、憲法を考えたり、改正するということは、ある意味、普段の選挙よりもさらに大切だろう。

 憲法に関して上述のように考えていくと、憲法改正の問題を考える際には、その国なりその社会なりにおいて、時間的にも空間的にもより長く関わりをもつ可能性のある若い世代(特に選挙権がない世代)からの理解と意見が活かされるべきだ。

 ところが、昨今の憲法改正論議では、国民投票法などの関係で18歳にも投票権を与えるという議論はあるけれども、上の世代(特に政治や権力の側にいる)だけでおこなわれており、若い世代が参加できるようになっていない。だからこそ、若い世代の憲法や政治に関する考えや意見をまとめて、社会に発信していくことが重要だ。

 そのような趣旨から、最近『僕らの社会のつくり方~10代から見る憲法~』(鈴木崇弘・青木大和編著、遊行社)を出版した。同書は、「高校生100人×国会議員」というイベントを開催する若い世代の任意団体「僕らの一歩が日本を変える。」(略称「僕1」。注)に関わる10代の大学生や高校生を中心に、「憲法」を材料にした徹底的議論を基に構成されている。その意味で、若い世代の意見や考え方が満載だ。「自称15歳」の筆者も、コーディネータ役として参加した。

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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