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[10]「普天間カジノ・リゾート構想」と「仲井真知事3選」への始動

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

 今年11月には沖縄県知事選挙が行われる。僕のもとに入ってきているさまざまな情報を総合すると、どうやら政府・与党は、仲井真弘多知事の「3選」に向けて選挙態勢作りを始動させる方針を固めたようだ。つまり現職のあの知事にもうあと一期(4年)、県政を任せようという腹を固めたということだ。

沖縄県の仲井真弘多知事拡大沖縄県の仲井真弘多知事
 最大の理由は、2013年末、普天間基地の移設を進めるため国から出されていた辺野古沖埋め立て申請を、仲井真知事が県民の反対を押し切って承認した「実行力」を最大限に評価したことにある。

 加えて、保守陣営のなかに、政府与党と「協調」できて(つまり、言いなりになるということ)、かつ県民の広い支持を得られそうな有力な候補者が見あたらないこともある。

 政府・与党のパペット(操り人形)という意味では、このところ最も活発に動いた島尻安伊子参議院議員がいるが、彼女に対しては県民からの反発があまりにも強く、「県政を担うような人材ではない」(県庁幹部)との評価がある。

 さらには知事候補のひとりと目された高良倉吉副知事についても、もともと学者出身という経歴ゆえ、一部与党関係者から「学者というのは腹の中で何を考えているかわからない」などとの声が出るなど反知性主義丸出しのありさまだ。学者出身の大田昌秀元知事の記憶がよほど彼らには強く残っているようだ。

 3月21日、沖縄県・宜野湾市のコンベンションセンターで沖縄国際映画祭のオープニングセレモニーが行われた。この映画祭、今回で6回目を数え定着度も増してきている。

 那覇市都心の目抜き通り「国際通り」にレッド・カーペットが敷き詰められるイベントもあり、中村獅童らスターたちが闊歩して市民らの注目を引いた。コンペ部門にはアジア各国から出品があったが、エンターテインメント色が強く前面に出ていて、国内の他の映画祭とはいささか色合いが異なる。映画祭実行委員長を吉本興業の大崎洋社長が務めている。今回は5日間の日程で計38万人が来場するなど活況を呈していた。

 そのセレモニーでのことだ。大崎実行委員長は次のような趣旨の祝辞を述べた。「映画祭を5回これまでやってきました。アジアの映画も取り込めるようになりました。6年目を迎え次の大きなテーマがみつかりました。それは沖縄をアジアにおける一大エンターテインメントの拠点とすることです」。「仲井真さんにはもう少し知事をやっていてもらいたい、いや、100年続いて欲しい」。

 吉本興業はかねて沖縄に統合型リゾート(IR)を建設する構想をぶち上げており、地元の企業グループとの提携も進めている。吉本興業ばかりでなく、たとえば、パチスロ遊技機も手がけるアミューズメント業大手、里見治会長率いるセガサミーホールディングスも沖縄の國場組と組んで、大規模IR建設構想を描いて動いている。

 僕はカジノそのものを否定するつもりはないが、地域づくりという観点からは、アメリカでみたカジノで栄えていると称する都市・地域の抱える問題は半端ではなかった。利用者たちのギャンブル依存症という問題ばかりか、地域にさまざまな荒廃を生みだしていた。

 日本政府は景気浮揚策、地域振興策の目玉として、現行の法律では違法であるカジノの解禁をめざしている。カジノ特区構想もある。2020年の東京オリンピック開催までに、国内に海外からのカジノ客を受け入れられるような施設をもちたいとの思惑があるのだ。超党派で構成されているいわゆる「カジノ議連」(会長:細田博之自民党幹事長代行)は、今国会でいわゆるギャンブル解禁法案を4月下旬から審議入りさせ、会期末の6月までに法案を成立させることに自信を示している。

 すでに東京(お台場カジノ構想)、大阪(湾岸エリアの人工島・夢洲)などがギャンブル施設建設地の誘致先として実質的に名乗りをあげて動いているほか、何と沖縄も仲井真知事がちゃっかり手をあげていた。「選挙公約にもなかった動きではないか」と県議会で追及された際も、仲井真知事は「先に手をあげないと競争に負ける。県民がイヤというのなら後から引けばいい」と開き直っていた。

 今年4月に米軍から返還される浦添市のキャンプ・キンザーの一部敷地に、カジノ併設の統合リゾートホテルを建設する計画がある。 ・・・ログインして読む
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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『ロシアより愛を込めて――モスクワ特派員滞在日誌 1991-1994』(筑摩書房)、『二十三時的――NEWS23 diary 2000-2002』(スイッチ・パブリッシング)など。共著に『テレビはなぜおかしくなったのか<原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって>』(高文研)、『内心、「日本は戦争をしたらいい」と思っているあなたへ』(角川書店)など多数。

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