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次々生まれる新しい「コトづくり」コミュニティと「場」

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 筆者は、過日都内のある社会起業組織やCSRに関するセミナーに参加した。セミナーの内容も面白かったが、それ以上(失礼!)に筆者が関心を持ったのはそのスペースというか「場」であった。

 このセミナーは、エコッツェリア協会(注)の「3*3 Labo(さんさんらぼ)」で行われた。それは、同協会が2011年に丸の内で開始した、場を有する研究会で、オープンで解放感にあふれていている。展示を行うエキシビションゾーン(現在は、「触れる地球ミュージアム」が展示されている)、レイアウトなどを変更して交流できるサロンゾーン(外からは話が聞こえないオープン空間などのような実験的な機器や施設も多く置かれている)、スタジオやワーキングを行うラボゾーン(朝大学TVスタジオやノマドスペースなどがある)からなっている。

 このようなスペースで、国内外で活動している多様なゲストを招いて、「モノづくりからコトづくり」をテーマにして、トークセッションやワークショップなどの活動を展開している。

 今回のセミナーもその延長線上で行われたもので、企業人、官僚、教員、NGO・NPOの人材、社会貢献などを行っている一般の方々が参加していた。同研究会は企業を中心につくられたものだが、企業から飛び出し、他の様々なセンターや多様な人材が集まり、交流し、新たなるアイデア・発想や活動を生み出す場になっているわけだ。

 そして、「3*3 Labo」は、今年の8月までの期間限定で行われ、そのHPによれば、「3*3 Labo」とは、「3 Gear×3rd Place、Laboratory」の略で、サステナビリティの3要素「経済・社会・環境」がギアのごとく噛み合い、さらに会社でも自宅でもない第3の場所「サードプレイス」として業界・業種の垣根を越えた交流・活動拠点として機能する場所を意味しているそうだ。

 筆者はこのスペースというか、「場」をみて、従来の事務所やイベントと異なる空気感を感じたのだが、同様の空気感のあるいくつかの他のスペースを思い出した。

 まず一つ目は、カタリストBA(Catalyst BA、略称CBA)である。これは、自然があり、「働く・遊ぶ・学ぶ・暮らす」が混在する街である二子玉川にある。

 CBAは、「触媒」を意味するカタリストが名称にあるように、多様な主体(企業・法人や個人など)が集まり、多くの組み合わせを生み出し、さまざまな活動のオープンな場として機能することを目指している。そのために、ビジネスやワークショップおよびイベントに活用できる「ファシリティ(施設や設備)」がある。

 たとえば、ワークショップやセッションに集中できる円形の大空間である「スタジオ」、クリエイティブな個人がコ・ワーキングを行う「コラボレーションオフィス」、会員同士が根とワークを深めるソーシャルメディアのリアル空間で、対面式台所のような「コネクティブキッチン」、未来の働きを支援する試験的な機器などを展示・試行する「ツールラボ」などのさまざまな空間から構成されている。

 白を基調に、グリーン、オリーブグリーン、イエロー、パープル、ブルーなどが配色され、全体として明るく、カラフルな感じだ。

 そして、そこで形成されたネットワークを通じて、具体的なプロジェクトやビジネスなどの「コト」や「ストーリー」を生み出すきっかけをつくり出していく「コミュニティ」の活動拠点、「場」となっているのである。

 CBAには、その「ファシリティ」を活かし、「コミュニティ」を生み出していくための、企業が有する技術や資源と個人のアイデアをマッチングさせ、イノベーションにつながる社会実験を実践的に行い、ビジネスの手法を活用して街づくりをしていく民間団体「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」も形成されている。

 筆者も、CBAに何度か伺ったことがあるが、レイアウトや設備は、解放感があり、革新的で、クールで楽しそうな感じだった印象がある。

 もう一つは、イトーキ東京イノベーションセンターSYNQAだ。これは、元々事務用品の製造販売企業であるイトーキ製品の実験場としてつくられたもので、ビル全体として、多種多様なワークスペースやワーク機器などを実際に実験的に使用しあるいは活用し、展示している場である。

 そして、そのうちの特に1階のワークカフェは、外部に開かれたシェアオフィスであり、宝塚の舞台を彷彿とさせる階段を利用したステージ、変化に富んだ異なる複数のシェアオフィス空間、デジタル機器を活かして刺激的なディスプレイがなされた本棚、高い天井、実験的なメモディスプレイ機器などが配置されている。もちろん無線LANも提供されている。

 そして、さまざまなネットワークイベントを明るく開放的で、フレキシブルに行えるスペースになっている。これにより多様なセクターの人々が集まり、SYNQA(シンカ)のフォロワーガイドの小冊子によれば、「知識・技術、アイデアの交流を図る空間」を備えた「場」になっている。

 筆者も、何度かこの場を活用したことがあるが、集中力も保持でき、開放的でイノベイティブで、交流しやすい「場」だ。またさまざまなイベントなどが頻繁に開催され、企業、行政、政治、学者、NGO・NPOなどなど多様なセクターからの人材が集まり、交流が行われ、お互いが刺激され、アイデアや新たな活動が生まれている感じだ。

 さらに、評論家の東浩紀さんの主宰する「ゲンロンカフェ」もある。 ・・・ログインして読む
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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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