2014年04月23日
自民、公明、民主など与野党8党は、憲法改正の手続きを定めた国民投票法改正案を今国会中に成立させることで合意したという(4月3日)。これは、憲法改正の賛否を問う国民投票の投票権を持つ年齢を、4年後に現在の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げるというものである。また、改正法施行後、2年以内に公職選挙法を改正し、選挙権を得る年齢を「18歳以上」とすることも目指すものの、自民党などに反対論もあるので、実現は確実ではない、という。
この問題は、民法などにおける成人の年齢とも関連しており、親権の及ぶ年齢や飲酒可能な年齢が現在は20歳なので、選挙権を18歳にするためには、成人年齢全般を18歳に引き下げる必要がある、という意見も強い。
このような選挙権の年齢見直しの動きが起きている背景は、世界の多くの国々で、選挙権が18歳以上になっているということである。選挙権を与える年齢は192の国・地域のうち170の国・地域で18歳以下であり、OECD(経済協力機構)に加盟する34カ国の中でも、18歳までに選挙権を与えていないのは日本と韓国(19歳)だけだ、という。
もともとは他国でも20歳や21歳の地域が多かったが、イギリスでは1969年、ドイツ、フランスは1974年、イタリアは1975年に18歳に変更されている。この時期には学生運動や社会運動が盛んだったので、青年たち自身が自分たちの意見を政治に早期に反映させることを求めたのである(碓井真史「成人は20歳か18歳か:成人年齢引き下げ問題を考える」)。
そこで、このように若者の政治参加を促進するために、日本でも遅まきながら、選挙権を18歳に引き下げようという方向が現れているわけである。もっとも、これに対して、最近の若者の成熟は遅いのでそれは不必要だという声も根強く、民法上の成人年齢の18歳への引き下げについては内閣府の世論調査で全体では69%が反対だったという(2013年12月14日)。
政治哲学の観点からこの問題を考えてみると、これについて原理的な賛否は
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