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日本国憲法 第二十条
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2項 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3項 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

 2014年の6月初め頃まで、今国会中に集団的自衛権の行使について閣議決定する予定だった安倍内閣に対して、連立を組んでいる公明党は端的に否を突きつけていた。その公明党の姿勢に対しては、過去に創価学会を破門した日蓮正宗までもが「平和のため」の異例の歩み寄りを見せ、僧侶や牧師、神父らが参加する「平和をつくり出す宗教者ネット」が同党の応援にまわった

 だが、6月10日ごろを境に、一転して閣議決定を認める方向へと主張を変え、ついに6月24日には両党間の与党協議で、従来の憲法解釈を変えて他国を武力で守る集団的自衛権を使えるようにすることで大筋合意した

 なぜ現在の公明党は、集団的自衛権問題に関して、その結党の精神の根幹とも云える「平和主義」の貫徹ではなく、自民党への追従とも受け取られるような「迷走」を続けてしまうのだろうか。

 今回の集団的自衛権をめぐる公明党の「迷走」の近因は、安倍政権のブレーンである飯島勲内閣官房参与が6月10日に米ワシントンでの講演で公明党と創価学会との関係について、憲法の定める「政教分離」の原則に反するがゆえに、公明党に理論的には解党の可能性もあり得るとして「脅し」をかけた、いわゆる「飯島発言」であろう。

参院宗教法人特別委で意見を述べる秋谷栄之助・創価学会会長=95年12月4日拡大参院宗教法人特別委員会に招致された秋谷栄之助・創価学会会長(当時)=1995年12月4日
 「飯島発言」は飯島氏が「公明党と創価学会の関係は政教一致と騒がれてきたが、内閣法制局の発言の積み重ねで政教分離ということになっている」として、党と支持団体の関係は憲法の「政教分離原則」に反しないとする政府見解の説明をした。その上で「法制局の発言、答弁が一気に変われば、『政教一致』が出てきてもおかしくない」と続け、公明党を牽制したのだ。

 近年の創価学会をめぐる政教分離問題としては、1996年に行われた宗教法人法改正にさいして、前年の1995年に自民党側が池田大作氏の証人喚問を要求し、結果的に当時会長であった秋谷栄之助氏が参考人招致される事態となったことがあった。以後、政教分離問題は公明党に攻勢をかける際の定石となっている。

 今回の「飯島発言」について創価学会の幹部らに話を聴くと、一般の信者から幹部まで、大いに怒り心頭だとのことだが、他方で1995年当時 ・・・ログインして読む
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筆者

五野井郁夫

五野井郁夫(ごのい・いくお) 高千穂大学経営学部教授(政治学・国際関係論)

高千穂大学経営学部教授/国際基督教大学社会科学研究所研究員。1979年、東京都生まれ。上智大学法学部卒業、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了(学術博士)。日本学術振興会特別研究員、立教大学法学部助教を経て現職。専門は政治学・国際関係論。おもに民主主義論を研究。著書に『「デモ」とは何か――変貌する直接民主主義』(NHKブックス)、共編著に『リベラル再起動のために』(毎日新聞出版)、共訳書にウィリアム・コノリー『プルーラリズム』(岩波書店)など。

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