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戦闘機F35プロジェクトは掛け声倒れに終わる?

谷田邦一 ジャーナリスト、シンクタンク研究員

 最新鋭のステルス戦闘機F35をめぐるトラブルが、世界のあちこちで報告されている。

 エンジンの不調、ソフトウエア開発の遅れ、価格の高騰……。6月には、米国のエグリン基地を離陸直後に後部胴体から出火し機体が焼損する事件が発生。全機が一時飛行停止となり、晴れ舞台になるはずだった7月のファンボロー航空ショー(英国)への初参加が見送られた。いまでは欧米の専門家から「欠陥機」との露骨な批判を浴びせられるありさまだ。

F35戦闘機=米ロッキード・マーチン社提供戦闘機F35=米ロッキード・マーチン社提供
 そして日本。事情はちょっと違うが、こちらは政府を挙げて取り組んできたF35の製造参画プロジェクトに、「黄信号」がともり始めている。同機の導入の経緯とこのプロジェクトについて簡単に説明しておこう。

 老朽化した航空自衛隊のF4戦闘機の後継として、民主党政権が米ロッキード・マーチン社製のF35を次期戦闘機に選定したのは2011年12月。

 全部で42機を導入し、うち1個飛行隊(約20機)を17年度に青森県の三沢基地に配備することが決まっている。

 同機は世界で3千機を超す需要が見込まれている。米英などの共同開発国の企業が部品を製造し、米国とイタリア、日本で最終組み立てが行われる。

 日本は共同開発国には入っていないが、幸運なことに米政府との交渉の結果、自衛隊機向けだけでなく外国機向けの部品製造についても国内企業の参画が認められることになった。外国機向けの部品製造・輸出に参入できるとすれば、マーケットは一気に拡大することになる。

 安倍政権は、日本が世界規模で戦闘機生産に関わる一大プロジェクトと位置づけ、2013年、さっそく国内企業による部品の製造・輸出を容認。武器輸出3原則(現・防衛装備移転3原則)の例外とすることを閣議決定した。

 さらに日本の技術レベルの向上や自衛隊機の調達コストの低減などを期待して、関係省庁も率先して推進役をつとめてきた。

F35で日本企業が製造に参画したり、参画を打診されたりしている部品F35の製造で日本企業が参画したり、参画を打診されたりしている部品
 主管である防衛省は、胴体部分を受け持つ三菱重工業、エンジン部品を担当するIHI、そしてアビオニクスと呼ばれる電子機器を得意とする三菱電機の大手3社と契約。自衛隊機向けだけでなく、外国機向けをも視野に入れて3社に製造参画を促してきた。

 その結果、13年度になって、IHIと三菱電機の2社が自衛隊機の部品製造に参画することが決まった。引き続き外国機向け事業への参画も検討している。

 ところが、日本の戦闘機メーカーの名門・三菱重工業は、最初から腰が重いままだ。

 関係者によると、三菱側は当初、ロッキード・マーチン社から年間60機分の後部胴体の製造をもちかけられていたという。

 ところが、ほどなく米国側から補足説明があり、後部胴体の設計権は同社にはなく、共同開発国の英国・BAEシステムズが独占していることが日本側に伝えられた。さっそく三菱重工業は同社との交渉を開始したものの、BAE側は日本の大規模な参画に難色を示し、参画規模はしだいに小さくなっていったという。

 その結果、13年秋には、自衛隊機向けと外国機向けあわせて年間24機分の後部胴体を国内で作る前提で、防衛省と三菱重工業が協議した。問題になったのは、

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