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今こそ政策競争と政策市場を創り出していくべきだ!

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 最近、政治や政策における議論が盛り上がっていないように感じる。

 この約10年間、政治は激動し、低迷し、政権交代、そして政権の再交代が起こった。だが、政策的にも制度的にも多くの成果が生まれたとはいえず、政治は混迷し、いつしか安定的で強い政治のリーダーシップが望まれた。

 その結果として生まれたのが、第二次安倍政権であり、有権者の支持は高いとはいえないが、弱小野党との関係において国会で与党が絶対的多数を占める1強状態である。

 これまでの政治の低迷や混迷の中で、底をついた有権者の支持のなかで生まれた安倍政権は、独自の経済政策をとることで、経済や景気の雰囲気を変えた。結果、日本の経済は、短期的には活性化し、景気が上向いた。だが、中長期的には日本の経済や社会をさらに活性化し変革していく政策が必要であるが、具体的かつ有効な政策が生まれているとはいいがたい。

 また、政治を全体的にみた場合、先述したような状況で、野党が低迷し元気がない中、国会の論戦も必ずしも活発かつ積極的に行われているとはいえず、どちらかといえば低調な観がある。閉会中の現在はなおさらだが、秋に国会が再開しても、政策的な論議が活発になるとは思われない。

 さらに、朝日新聞の8月13日付の記事「自民覆う『沈黙は金』」によると、与党自民党内では、政権交代に懲りて、以前には活発であった侃々諤々の議論が行われなくなっているという。

 このように、政治全体として、政策や政治の論議が抑えられ、低迷しているようだ。

 他方、国会では、変化も生まれている。

 その変化とは、政権交代で野党にも政権運営経験者が存在するようになったためか、与野党による法案修正が頻繁に行われるようになったことである。

 また、従来の法案は官僚によって作成される内閣提出のものがメインで、議員立法は主に野党により行われるという構図があった。だが最近は、その必要性もあろうが、縦割りおよび前例主義の官僚による法案作成ではできにくい、与党による議員立法も増えているようだ。

 この変化は、議員内閣制のために与党内での事前承認によるクローズドな政策形成システムが幅を利かせ、国会が儀式的で形式的な承認機関である状況に変化が生まれたことを意味する。

 しかも、政権交代が起きたことで、立法まわりの動きは、官僚機構と与党が一体となった不動の体制に野党が対決するという与野党対立から、与野党が政策的に競争する状況に移行しつつある。しかし、現状の野党が脆弱な状態では、本格的な「政策競争」が、国会から生まれるとは思えない。

 だが、民主主義的にいえば、社会全体や国会で、さまざまな意見や政策案が出され、活発に議論され、政策競争が行われるようになるべきだし、そのような環境が存在する必要がある。

 そこで提案がある。

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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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