2014年08月20日
8月に入ってアメリカ軍がイラク北部への空爆を開始した。作戦は現在も続行されている。
目標は、イラク北部のIS(イスラム国)の部隊である。ISは、ISIS(イラクとシリアのイスラム国)として知られていた組織である。6月にイラク北部の大都市モスルを制圧するなど急激にシリアとイラクで支配地域を拡大させた。7月には、その指導者のアブ―バクル・バグダーディをカリフ(イスラムの預言者ムハンマドの後継者)に指名してイスラム国の樹立を宣言した。
その結果、イラク政府軍の上層部にはシーア派でマリキ首相には忠実だが指揮官としての能力には疑問符のつく人物たちが座ることとなった。現場の兵士たちは、こうした指揮官の下で命を懸けて戦おうとはせず、スンニー派イスラム急進派の攻撃を受けて潰走した。
しかし、その兵士たちよりも早く逃げ出した指揮官もいた。結果としてイラク軍の保有していた大砲や戦車などの大量の大型兵器が無傷でイスラム国の手に落ちた。アメリカ製の兵器である。こうした新型兵器を入手したイスラム国の部隊は突然に格段に強力になった。
8月にイスラム国が北部のクルド地域に対して攻勢を開始すると、クルド人の部隊は前線を支えきれずに後退した。
イスラム国の部隊とクルド人の部隊の差異は、勇敢さではない。
山岳民族であるクルド人は古来から武勇で知られている。クルド人の兵士は現地では「ペシュメルガ」と呼ばれる。クルド語で「死に向かう者」を意味する。それほどクルド人は勇猛である。ただクルド人は
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