2014年10月09日
中国の特別行政区である香港の2017年行政長官選挙で、中国が8月に「一人一票」は認めるものの、立候補に厳しい制限を設けて民主派を排除する方針を決めた。
これに反発した学生や民主活動家らによる繁華街占拠の抗議が続いている香港で、事態打開を目指す香港政府と学生代表の対話が10月10日に開かれることになった。香港は「一国二制度」により高度な自治が中国当局から認められているが、香港政治の枠組みを決めるのは北京側である。学生らも広範囲な市民の代表ではない。対話によって香港の混乱が直ちに収まることはないだろう。
一連の抗議活動が世界的に注目されたのは、英国植民地だった香港が1997年に中国に返還された後、最大規模で、警察との衝突も異例の激しさだったからだ。治安維持のため催涙弾や催涙スプレーが使われ、抗議の学生らは雨傘で催涙弾などを避けた。そんな模様が世界に伝わり、「雨傘革命」(Umbrella Revolution)と呼ばれるようになった。
そもそも、抗議活動は穏健な学者ら3人が10月1日の国慶節の休日に世界的な金融街である中環を占拠しようと呼びかけたのが始まりだった。
「中環占拠」の言葉は物々しいが、金融が混乱しない休日を選ぶという慎重さがあった。
ところが、香港大学など主要8大学の学生会でつくる「大学生連合会」と中高生らのグループ「学民思潮」が、「中環占拠」を前にした9月22日から授業ボイコットに突入、政府庁舎前で抗議集会を始めた。
これが大規模な抗議活動になっていくのだが、「学民思潮」を率い香港中心部を占拠したのはこの8月まで高校生だった17歳、大学1年生の黄之鋒さん。
黄さんは2年前には、中国当局の指導で香港政府が計画した「愛国主義教育」に反対する活動を主導し、撤回にまでもちこんだ若き民主派リーダーだ。
とはいえ、黄さんが様々な抗議活動の参加者をまとめることができるわけはなく、占拠による生活や仕事への悪影響に市民もうんざりするようになった。抗議活動の参加者も激減した。
そんななかで、香港政府と「学連」の対話が実現する。
対話の結果がどうなるか。
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