春名幹男(はるな・みきお) 早稲田大学客員教授(米政治安保、インテリジェンス)
1946年京都市生まれ。大阪外国語大学卒。共同通信社ニューヨーク支局、ワシントン支局、ワシントン支局長。名古屋大学大学院国際言語文化研究科教授をへて、現在、早稲田大学客員教授。ボーン・上田記念国際記者賞・日本記者クラブ賞受賞。著書に『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『秘密のファイル―CIAの対日工作』(共同通信社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
野党共和党の大勝となった米国の中間選挙。開票後、日本で報道された最初の画像は、自らも当選したミッチ・マコネル共和党上院院内総務(72)=ケンタッキー州=の勝利演説シーンだった。
しかし、彼と一緒に壇上で支持者に手を振る美人のアジア系女性がだれか、説明を加えたメディアは日本にはなかった。朝日新聞は「妻」とだけ書いた。彼女はブッシュ前政権で労働長官まで務めた台湾生まれの有力政治家、エレーン・チャオ氏(61)である。
マコネル上院議員が少数派の院内総務から多数派の院内総務へと強力な権力を持つに至ったとはいえ、米中間選挙に関する評論をあえて彼の「中国コネクション」に注目して書き始めたのには、それなりに理由がある。
確かに、米共和党は大勝した。しかし、この中間選挙では米国の政治潮流に大きな変化が見られず、むしろ上院の新たな変化に注目すべきだと考えたからだ。
米政治潮流に変化がなかったことについては、いくつかの理由が考えられる。
第1に、米国民の投票行動が予想通りの選挙結果をもたらしたこと。第2に、共和、民主両党とも党内対立を内包したままの政治状況が続いていることだ。
このためワシントン・ポスト紙などは、「上院の共和党多数支配は短くなりそうだ」と予測している。