2014年11月18日
立ち退こうと、留まろうと、組織としては相当に「終わっている」。底なしの、「限りない下降」はとまらない。「富士見の城は落城寸前」である。
いや、組織的にはすでに落城したと言えないこともない。それほど影響力の低下は著しい。
靖国神社に近いこの場所に中央本部ビルが建てられたのは1960年代。80年代に、地上10階、地下2階の威容を誇るいまのビルに建て替えられた。
2度の競売と落札者の失格という前代未聞のすったもんだの末、最高裁は11月4日付で、総連中央本部ビルの土地・建物の、四国の不動産投資会社「マルナカ・ホールディングス」への売却を認めた。落札額は22億1千万円。
報道によれば、マルナカは代金入金の手続きをとった。東京地裁が確認し、問題がなければ、所有権はマルナカに移転する。
メンツをかけてこの地に留まろうとあの手この手の工作を繰り返し、裁判沙汰を繰り返してきた総連だが、ここまで来ては、かなり苦しい状況だ。
にもかかわらず、中央本部は静かそのものだそうである。マスコミの問い合わせにも「申し上げることはない」で一貫している。
総連がいくら団結を呼びかけても、在日朝鮮人社会は冷めている。冷笑的でさえある。在日社会の信用そのものを総連の現指導部はとっくに失っているのだ。
といって、とって代わる人材がいるかと言えばそれも怪しい。老朽化著しい中央本部ビル同様、組織の根腐れが進んでいる。
それもこれも、北朝鮮の首領独裁体制を言うがまま受け入れ、朝鮮労働党の日本支部であり続けた結果だ。本国と総連は基本的に別であるかのような「偽装」が日本で通じた時代もあったが、いまは誰も信用しない。
異論を唱えた優れた人材は追い出されるか、自ら組織を離れた。残されたのは外に向けての空虚なスローガンとコワモテの物言いだけである。寄ってくるのは、総連と組んで一儲けしたいブローカーぐらいのものか。
この9月に8年ぶりに訪朝し、10月に日本に戻った許宗萬(ホ・ジョンマン)議長はついに金正恩(キム・ジョンウン)第1書記と会えなかったという。
正恩氏の父親、故金正日(キム・ジョンイル)総書記の時代は、総連系金融機関(朝銀信用組合)などを利用し莫大なカネを本国に送金したのを「愛国事業への多大な実績」と評価され、金総書記と2人で並んだ記念写真を自らの権威付けに使った許氏だが、それも過ぎた昔のことだ。
許氏が正恩氏と会えなかった理由について、ある総連関係者はこう話す。
「北への送金は、実は、総連系企業へのマツタケ輸出との
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