憲法的争点:憲政を侵犯する権威主義か、民主主義か?
2014年12月08日
経済的争点・政治的争点の他に、この総選挙で、問われなければならない第3の大争点がもう一つある。
それは、憲法との関連であり、憲法体制そのもの、憲政そのものである。
たとえば秘密保護法は、自由や権利を侵犯する危険がある上に、行政府が機密を指定できるのに対し、一般市民のみならず、立法府すらそれをチェックすることが難しい。これは、議会政治という「憲政」の中枢をないがしろにする危険がある。
批判する側からすれば、これは違憲行為であって近代的立憲主義の否定であり、これによって内閣は違憲状態内閣になってしまっている。
もし日本国民が憲法を尊重し、近代国家として必須の立憲主義を維持しようとするならば、国民の総意によってこのような内閣に審判を下さなければならないだろう。
逆に、もしそのような国民の意思が示されなければ、内閣はこのような行為が信任されたとみなして、民意を謳いつつ、集団的自衛権行使や集団安全保障への参加を法制化するだろう。そうなれば、国民が憲法の侵犯や立憲主義の否定を追認するということにされかねないのである。
安倍内閣の女性閣僚に関しては、高市早苗・総務相と稲田朋美・自民党政調会長が、ヒトラーを礼賛したネオ・ナチの団体(国家社会主義日本労働者党)の代表と一緒に日の丸を背景に記念撮影をした写真が公開されてから削除された、と海外の英字紙で次々と報じられた(英ガーディアン9月9日など)。
実際にどこまで深い関係だったのかは定かではないが、従来の自民党に比べて、この内閣やその閣僚の一部に極端な右翼的発想が存在することは、立憲主義に反する閣議決定を見ても確かである。このような政治的感覚に対しても、選挙で問われるべきだろう。
与党が勝利して3分の2を確保できれば、内閣はいよいよ憲法の明文改正に踏み出すかもしれない。憲法の改正手続きに基づいて憲法改定を行うならば、それは「準極右的体制変革」ではなく、手続き的には正当な「右翼的体制変革」ということになる。
安倍政権は前回の総選挙の公約で改憲を掲げたのだから、これについても有権者は投票にあたって考慮に入れなければならないだろう。
政権側は、第1の経済的争点を総選挙のテーマにしようとしているのに対し、野党はそれに応じるとともに、第2の政治的争点も浮上させようとしている。それは、民主主義から見て正当である。
しかし、憲政という第3の憲法的争点は十分には浮上していないように思われる。政権は、公約でただ「時代が求める憲法を」と言うだけでその内容は示さず、この争点の浮上を回避しようと努めている。
さらに社民党や共産党を除けば、野党もこの論点には踏み込んでいないところが多い。集団的自衛権行使容認問題や憲法問題に関して確たる意見を持たない野党が少なくなく、野党間でも意見が一致していないからだろう。だから、ここには、「争点の存在を認識させない権力(3次元的権力)」が働いているように思われるのである。
けれども、今後の日本政治を考えるときに、最大の問題となるのは
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