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小学4年生なりすまし大学生の何が問題か(上)

「政治化」「拡大化」した理由

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 小学4年生になりすました大学生が、「どうして解散するんですか?」というサイトを開設したことで、ネット上で炎上するという大きな問題が最近起きた。

 これは、単なるネット上の一つの問題と考えられがちだが、実は多くの側面がある。本稿では、そのことについて考えていきたい。

 まず、当該大学生が、「小4」になりすましたことである。

なりすまし「なりすまし」が安倍首相の批判まで招いてしまった(写真はイメージ)
 これは問題だ。その大学生には、ネットネイティブとして、大いに反省してもらいたい。そして、筆者も含めて他のネットユーザーも今回の件で多くの教訓を学ぶべきだろう。

 次に、当該大学生は、幅広く政党や政治家、著名人のツイッターアカウントに、一方的に同サイトに関するツイート(いわゆるスパムメール)を送信した。

 それによって、政党や一部議員、著名人がこのサイトの情報を一気に拡散したのである。その情報は、数千万人に流されたといわれている。

 そして、今回のサイトがオープンにされた時期が、現在行われている選挙戦に非常に近かったこともあり、政党や議員、さらには安倍総理までがこのサイトに関して発言したりその反響に対して応酬するなど、サイトを利用あるいは批判・非難する状況が起きた。

 このサイトはある意味で政治における「代理戦争の場」のような観を呈したともいえる。

 特に、時の総理がこの問題を取り上げたことが、この出来事をより問題化させた。

 総理は、フェイスブック(FB)において、本件行為を「批判されにくい(小4という――筆者加筆)子どもになりすます最も卑劣な行為」として厳しく批判した。

 なお、総理は、後日FB記事を削除し、「小学4年生と偽った大学生も『そのアイディアやエネルギーを強くて明るい将来に向けてほしい』と心から願います」と大学生の行為への前向きな要望の表明に書き換えた。

 いずれにしろ、上述のようなネットでのやり取りが、タイミング的に、特定政党を利するかのように受け取られ、非常に「政治化」して、問題を「拡大化」したといえる。

 他方、当該サイトの問題がこれほどまでに拡散したことの背景には、

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