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小学4年生なりすまし大学生の何が問題か(下)

SNSの凄まじい速度と破壊力

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 筆者は、今回の出来事が起きる数日前の夜に、当該大学生に会った。

 彼は、秋に現地で取材した香港デモの状況に関して講演したのだが、その際に少し話す機会があったのである。香港では、17歳の学生活動家らが中心になったデモが、組織的に行われて政府に対峙し、大きな影響力を持っていた。

香港拡大香港の「雨傘革命」には多くの若者が参加した
 彼は、自分より若い青年たちが実際に政府と戦い、社会を動かし、国際的にも大きく注目されていることに大いに感化され、心を揺さぶられている様子だった。それに比して、自分の活動の限界や課題を思い、何かしたいという焦りや胸の高まりを感じていたようだった。

 特にその夜はちょうど安倍総理が衆議院解散を宣言した時で、彼が解散を非常に気にしているのがわかった。

 彼によれば、来春の統一地方選を目指して、当該NPO法人とは別に、政治活動をすることを企画していたようである。

 だが、突然の解散で、それよりもむしろ来るべき総選挙で何かしたいと考えるようになったのだと思う。しかも、時間が限定されている中で、短期間でインパクトがあるものは何かと考えたに違いない。

 その結果が、「小4なりすまし」であり、「スパムメール」だったのではないか。だからといって、もちろんそれらの行為が許されるわけではない。当該大学生は、そのことを肝に銘じてほしい。

 この数年の当該大学生や代表を務めたNPO法人の活躍は目を見張るものがあった。彼らの活躍に憧れたり、手本にしたりするなど、彼を「カリスマ」的存在とみる高校生たちもいた。彼らを真似る動きも少しずつではあるが全国で起きつつあった。

 他方で彼らは、非常識、見当外れを意味する「イタイ」存在とみなされていると聞いたこともある。

 いずれにしろ、彼らが自分たちをどのように思っていたかは別にして、彼らの存在は、少なくとも若い世代にとっては自分たちが考えていた以上に社会的に大きな存在感や意味を持っていたのだ。その自覚と責任感がもっとあれば、今回の出来事も異なるものになっていたかもしれない。

 彼らは、9月に活動をNPO法人化し、自分たちのオフィスを構え、最近も大きな賞を受賞するなど、絶頂にあった。

 そして特にオフィスを持ってからは、ある意味同質性の高い同世代の仲間が、同じ場所に長時間集い、 ・・・ログインして読む
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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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