「極右+右翼」から「中道+左翼」への議席移動
2014年12月18日
第47回総選挙の結果、自公が合計325議席と「大勝」し、3分の2(317議席)以上を維持した。他方で、野党第1党の民主党は11議席増の73議席となったが、海江田万里代表は落選し、辞意を表明した。この結果をどう見るべきだろうか?
まず、投票率が52.66%と戦後最低であったことに注目する必要がある。この解散総選挙は「大義名分」を欠いていたために、関心が盛り上がらなかった上に、与党に満足できなくとも、投票すべき野党が見つからない人が相当数いたからだろう。
「大義なき総選挙の3大争点(4)――憲法的争点:憲政を侵犯する権威主義か、民主主義か?」で主張したように、この総選挙には日本の健全な民主主義の存否がかかっていたが、多くの人びとはそのような危険性には気づかずに棄権してしまったのだろう。逆に言えば、このような無関心層が多いからこそ、民主主義は危機に陥っているのである。
前回の総選挙で自民党は大勝したから、解散当初は今回は減少するという見方が多かったが、選挙中のメディアの選挙予測では300議席以上の圧勝の可能性が報じられていた。実際は3議席減であり、定数減を入れて考えると横ばいか微減ということになり、「事前に思ったほどは増えなかった」という感想を持つ人も少なくない。他方で、公明党は4議席増の35議席となった。
筆者の周辺にも、「自民党の安保政策には反対だが、民主党には投票する気がしないし、共産党にも入れたくないので、公明党に入れる」という人がいた。
このような投票の存在を考えると、与党の議席数はほぼ同じでもその内部で、僅かながら「自民党→公明党」という相対的な比重の変化が起こっていると考えられよう。与党支持者においても、特に安全保障政策や憲法問題で、集団的自衛権行使容認や改憲に対する反対が相当数いるからである。
選挙結果の中で極めて印象的なのは、「みんなの党」の解党に続いて、前回総選挙で注目された第3極の政党が全般的に後退したことであり、特に「次世代の党」が、17議席も減少して僅か2議席となり、壊滅的な敗北を喫したことである。
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