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少数の大声と多数の沈黙

 一つの問題をめぐり、人々の意見が真っ二つに分かれるのは韓国だけじゃないだろう。本当は真っ二つではなく「どっちの気持ちもわかる真ん中の私」も多いのだけど、そんなサイレントマジョリティーよりも、大きな声の少数者が目立つのが昨今の特徴だ。そのせいで、社会のいたるところが分裂し、喧嘩ばかりしているように見える。

 これまで書いてきたようセウォル号事故に関しても、当初の衝撃と悲しみが一段落した頃から、「犠牲者遺族」をめぐっての「対立」が顕在化してきた。

 「子供達を亡くした気の毒な遺族に、国は十分な保障をするべきだ」

学校から行進し、16日午後に韓国国会に到着した檀園高校の生徒ら=ソウル20140716拡大沈没事故の犠牲者を出した檀園高校の生徒たちが学校から行進し、韓国国会に到着した=2014年7月
 前提には「国民的合意」がある。しかし、それは税金を使って行われる以上、公平でなければならない。

 「セウォル号事故以外でも、手抜き工事やずさんな管理の犠牲になった人々はいるでしょう。彼らだけを特別扱いにするのはおかしいと思うのですよ」

 セウォル号特別法制定に批判的だった人々の多くは、「それが公平かどうか」を問題にしていた。

 今や民主主義の国々に共通のテーマだ。

 ところが、その静かな疑問よりも、「特別法を推進している連中はみんなパルゲンイ(赤という意味の韓国語)。背後には北朝鮮がいる」という

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筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『韓国カルチャー──隣人の素顔と現在』(集英社新書)、『韓国 現地からの報告──セウォル号事件から文在寅政権まで』(ちくま新書)など、訳書に『搾取都市、ソウル──韓国最底辺住宅街の人びと』(イ・ヘミ著、筑摩書房)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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