軍事介入の課題と日本の役割
2015年02月12日
「イスラム国」を崩壊させるには、幾つかの方法が想定される。経済制裁と軍事的介入がそれに当たるであろう。その二つの方法は共に、大国が主導するのみでなく、国連がそれに認可を与えることが求められる。
経済制裁に関しては、国連憲章第7章において平和回復の段階の一つとされ、安全保障理事会の3分の2以上の賛成、および常任理事国の拒否権の発動が無い場合に執行される。
ただ、実際に現在までのところ、周辺諸国からの「イスラム国」への圧力は強まっており、今後の経済制裁の効果は十分に上がらないものと見られる。
もう一つの解決手段であり、恐らく最も現実的な対応といえる軍事的介入に関しては、国連の歴史から捉えなおす必要がある。
「集団的安全保障」は侵略の危機に瀕する他国に組織の加盟国が共同で対応するものである。その必要性が語られるようになったのは、第二次世界大戦前、国際連盟が枢軸国の暴走を止められなかったことが起源となっている。
つまり、不介入の原則を重視するあまり、暴走する国家の拡大を許しては将来の大きな禍根となるという認識が戦後、共有されたのである。
前掲のように、「イスラム国」はナチスドイツですら隠蔽しようとした自らの非道な行為を公然と表明し、弱者への圧迫を自らの力に変える性質を持っている。
つまり、彼らの存在自体が国際社会の脅威であり、放置したならば被害が拡大することを考えれば、「イスラム国」とその支配地域をめぐる状況は集団的安全保障の概念に基づく案件であると思われる。
しかしながら、「イスラム国」が国家ではないことを踏まえれば、1945年に作られた国連憲章に基づく国連主導の軍事行動はとり難い。そこで、現在行われている有志連合の空爆をはじめとした行動に対して、国連の安保理と加盟国による武力行使容認決議を行うことが国際的な支持や合意を取り付ける上で有効な方法といえる。
ただ、そうした国連の認可を受けた活動を行い、「イスラム国」の支配を終了させたとしても、シリア国内には別の課題が残る。
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