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ブームなのに飛び立てない自衛隊の無人機

小型ドローンが頭上から落ちてくる時代?

谷田邦一 ジャーナリスト、シンクタンク研究員

 航空撮影や物資運搬などの民間分野で導入が進む小型無人機(ドローン)。コスト安と利便性が受けて、その人気と用途は広がる一方だ。

 ところが、半世紀の長きにわたって巨額の税金を投じ、無人機開発に取り組んできた防衛省・自衛隊の実用化がうまくいっていない。一体なぜなのだろう。

試験飛行中に大破した無人偵察機「スキャン・イーグル」の同型機=ボーイング社提供拡大試験飛行中に大破した無人偵察機「スキャン・イーグル」の同型機=ボーイング社提供
 陸上自衛隊が購入したばかりの無人偵察機が、エンジン不調から緊急着陸し大破したのは2014年11月13日午後3時すぎのこと。

 米ボーイング社が全額出資する子会社が開発した「スキャン・イーグル」を使い、陸自の開発実験団と西部方面隊の隊員たちが大分県の日出生台(ひじうだい)演習場で空撮などの試験飛行を重ねていた。

 天候は良好。強い風が吹いていたわけでもない。ところが突然、高度100メートル前後を飛行中にエンジンが停止した。

 担当者は通常の着陸地点まで飛行できないと判断し、手動に切り替えて演習場内で緊急着陸を試みた。

 スキャン・イーグルにはもともと車輪がない。そのため胴体着陸となり、翼や胴体、搭載したカメラが大破した。同機は着陸の際、翼に付いたフックを地上に設置されたワイヤに引っかけて回収する仕組みだが、その地点まで飛ぶ余力がなかったとみられる。

2009年にボーイング社でスキャンイーグルが初公開拡大2009年にボーイング社でスキャン・イーグルが初めて公開された=撮影・筆者
 陸自によると、機体の大きさは全長約1・6メートル、翼長約3メートル、重さは約20キロもある。

 演習場内だったからよかったものの、これが市街地だったら緊急着陸場所が確保できず通行人などを巻き込む大事故につながっていた可能性がある。原因は今もよくわかっていない。

 あろうことか、この日は陸上自衛隊トップの岩田清文・陸上幕僚長が演習を視察するため現場に居合わせた。

 スキャンイーグルはその目の前で不時着したという。「陸幕長

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筆者

谷田邦一

谷田邦一(たにだ・くにいち) ジャーナリスト、シンクタンク研究員

1959年生まれ。90年、朝日新聞社入社。社会部、那覇支局、論説委員、編集委員、長崎総局長などを経て、2021年5月に退社。現在は未来工学研究所(東京)のシニア研究員(非常勤)。主要国の防衛政策から基地問題、軍用技術まで幅広く外交・防衛問題全般に関心がある。防衛大学校と防衛研究所で習得した専門知識を生かし、安全保障問題の新しいアプローチ方法を模索中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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