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[1]アフリカ沖、カナリア諸島に9条の碑!?

伊藤千尋 フリー・ジャーナリスト

 アフリカ沖の島に日本国憲法9条の記念碑がある。

 世界地図を広げてみよう。日本列島の南部に沖縄島を中心とした琉球諸島が連なる。沖縄を指さして、そのまま指を左、つまり西方向に動かしアフリカを越えて大西洋に出たところにカナリア諸島がある。7つの島から成るスペインの領土の島々だ。

 今も一帯で海底火山が噴き上がる火山の群島である。富士山と同じくらいの標高3716メートルの山を抱える島もある。

 ローマ帝国時代に遠征軍が攻め入ると、島は野犬だらけだった。当時のラテン語で「犬(カン)の地(アリア)」から、カナリアという名がついた。この島で発見された可愛い小鳥に付けられた名がカナリアである。

 中心の島はグラン・カナリア島で、東京都ほどの大きさだ。成田空港からスペインの首都マドリードに飛び、飛行機を国内線に乗り換えて、この島の空港に降り立った。この島のテルデ市に「日本国憲法9条」の記念碑があるという。半信半疑で飛んできた。

 暖かい。なにせ緯度が沖縄とほぼ同じだ。州都ラス・パルマス市までバスに乗った。港にはヨットが並び、通りに面したレストランではバイオリンを手に楽士が演奏する。地中海の港町を思わせる風景だ。

 街並みはスペイン南部のセビリアに似て石畳が敷かれ、白壁に中庭を持った建物が並ぶ。中心部の広場に面して16世紀の大聖堂がそびえる。

ラス・パルマス市の「コロンブスの家」拡大ラス・パルマス市の「コロンブスの家」=撮影・筆者
 大聖堂の裏に「コロンブスの家」があった。コロンブスが新大陸を目指して航海したとき、この島に立ち寄って食糧や水などを調達した。そのときに寝起きしたのがこの家だという。

 目指すのはテルデ市だ。テルデ市行きの高速バスに乗った。わずか15キロだ。

 30分もしないうちに終点に着いた。テルデ市はこの島で2番目に大きな市だが、人口は15万人ほどでしかない。

 通行人に「日本の憲法の記念碑があるというが、知りませんか」と聞くと、停留所から歩いて数分のところに高校があり、その向こう側に三角形をした広場があって、その中に記念碑があるという。

 広場に着いて驚いた。広場の名は ・・・ログインして読む
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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) フリー・ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。著書に『地球を活かすー市民が創る自然エネルギー』『活憲の時代』『変革の時代』『ゲバラの夢、熱き中南米』(以上、シネフロント社)、『一人の声が世界を変えた』『辺境を旅ゆけば日本が見えた』(以上、新日本出版社)、『世界一周 元気な市民力』(大月書店)、『反米大陸』(集英社新書)、『観光コースでないベトナム』(高文研)、『闘う新聞ーハンギョレの12年』(岩波ブックレット)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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