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セウォル号事故から1年、韓国社会の苦悩(下)

反省や謝罪の成果

伊東順子 フリーライター・翻訳業

「どうして韓国のデモとか集会では、大勢のけが人や逮捕者が出るのだと思いますか?」

 セウォル号事故1周年の追悼集会で多数の逮捕者やけが人が出た数日後、仕事のため市中心部に出た私はひどい渋滞に巻き込まれた。遅々として進まないバス。スマホに熱中していた人々も顔を上げてキョロキョロしている。

 「何でしょうね?」

 隣にいた年配のご婦人が話しかけてくる。

 「デモみたいですよ」

セウォル号沈没事故から1年を迎えるのを前に事故海域をフェリーで訪れた遺族たち=15日午前10時54分、韓国・珍島沖拡大セウォル号沈没事故から1年を前に事故海域をフェリーで訪れた遺族たち=2015年4月15日、韓国・珍島沖
 ご婦人は「毎日、こんなことでどうするんだ……」と話し始めた。60代半ば?の世代ではありがちな反応。

 そういえばハンギョレ新聞にこの件に関する世代差を書いた投稿記事が載っていた。投稿した大学教授の思いは、前回書いた私の思いととてもよく似ていた。

 渋滞の原因はやはりデモだったが、セウォル号関連ではなく公務員の年金問題だった。ただ会場の公園には労組の旗とともに「セウォル号」のノボリも出ており、ここでも重要なテーマということなのだろう。

 集会が行われていた公園をやっとのことで通りぬけ、打ち合わせの場所にたどりついた。

 先に到着していた社長に、少々の遅れを詫びながら今見てきたことを話すと、彼はいたずらっぽい笑いを浮かべながら、こんなことを聞いてきた。

 「どうして韓国のデモや集会では、大勢のけが人や逮捕者が出ると思いますか?」

佐世保エンプラ闘争は知りませんが

 いきなりの質問に戸惑う私に、社長は勝ち誇ったように答えた。

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筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『韓国 現地からの報告――セウォル号事件から文在寅政権まで』(ちくま新書)、『もう日本を気にしなくなった韓国人』(洋泉社新書y)、『ピビンバの国の女性たち』(講談社文庫)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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