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[2]ハバナ、携帯電話、事件……

板垣真理子 写真家

 さて。1回目で、「最初の衝撃」について書いた。

 でも、ファースト・インプレッションなら、もっと小さく些末なことかもしれないけど、旅行ではなくて、「住む」ほどの時間的経過がなければ感じられない日々のもの、にも少し触れてみたい。

 今年の3月半ばにキューバの首都であるハバナに到着し、間髪おかず、東部の「熱い都市」サンティアゴ・デ・クーバに向かった。それは、この街で毎年おこなわれている「トローバ・フェスティバル」を観るためだ。

サンティアゴ・デ・クーバの教会拡大サンティアゴ・デ・クーバの教会=撮影・筆者
 それは、とても楽しかった。連日、すてきな音楽に、日に何度も遇えた。でも、これはほぼ、旅の延長。いつもしてきた、「楽しいキューバの旅」となんら変わらない。

 つまり、自分に与えた、1年近くの滞在の最初の休暇、みたいなものである。最初から、休暇というのもなんだか、であるが。しかし、いろいろなことに遭遇するこの国の準備段階としてはすてきな時間だった、と言えるだろう。

 サンティアゴ・デ・クーバでも「変化」は訪れていたけど、ハバナほどではない。

 海外の有名なブランドが店を出していたり、旧(ふる)かった建物が鮮やかな色に塗られていたりするのは、共通してはいるが、まだまだおとなしい。「変わる直前の滑り込みでこの国を見る」なら、サンティアゴ・デ・クーバ?などと言ってみたくなるほど。

 そして、首都ハバナ。違う国かと思うほどに雰囲気が違う。サンティアゴは、旧くは首都だったが、今はやはり、ハバナからは離れた東部の、どこかおっとりとした古都市。特にギターと歌の盛んな音楽都市である。ハバナはやはり、良きにつけ悪しきにつけ、この国の先端を行ってしまう、尖った街なのである。

 ハバナに戻ってきて、すぐの朝。通りを歩いていると、痙攣を起こして道に寝ている男性に行き遭った。 ・・・ログインして読む
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筆者

板垣真理子

板垣真理子(いたがき・まりこ) 写真家

1982年、ジャズ・ミュージシャンの撮影から写真の世界に入る。以後、ナイジェリアをはじめとしたアフリカ、南米、カリブ、アジアなどを取材。著書に、『キューバへ行きたい』(新潮社)、『ブラジル紀行――バイーア・踊る神々のカーニバル』(ブルース・インターアクションズ)、『武器なき祈り――フェラ・クティ、アフロ・ビートという名の闘い』(三五館)など多数。