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サハ共和国の夢とプリマコフ元首相の死(中)

ロシアの地方問題が凝縮された開発構想

大野正美 朝日新聞記者(報道局夕刊企画班)

 ニコラエフ元サハ共和国大統領がウクライナ危機について、

 「21世紀に全国民の投票で選出された(ヤヌコビッチ前ウクライナ大統領の)政権を力で倒してはいけない。米欧がロシアに科した制裁もまったく許されない。世界の大企業がロシアとの経済関係の拡大を望んでいる」

 と会議の結びの言葉で語ったように、会議の大勢は米欧や日本の対ウクライナ政策に批判的だった。

 ニコラエフ氏はロシアと中国との関係でも、「我々には共通の言葉が見つかった」と特別な位置づけを強調した。

 それでも傍聴者からは、「ロシアは西側との関係を修復しなくてはいけない」「中ロだけの関係強化は両国の発展に資さない」などの私の主張に、「まったくあなたの言う通りだ」という支持の声が会議の後で寄せられたことも付記しておく。

 実際、サハ共和国の地元紙「ナーシェ・ブレーミャ(我らの時代)」には、「中国との協力に疑問」という見出しの記事が載っていた。

 その内容はまず、中国が軍事分野で米国と協定を結んだことについて「専門家には『これは中国がロシアと米国とのどちらの側にも立たず、等距離に立つことを意味する』」とする。

 中ロの経済関係でも「中国はまったく対ロシア制裁に参加していないといっても、中国の銀行は事実上、米国や欧州連合(EU)による規制に加わっており、ロシアの銀行との協力に関心を持たない、との報道もある」と書いている。

 さらに「最近もサハ共和国と中国黒竜江省との経済協力フォーラムがあり、中国側から約80の石油採掘、石炭化学、木材加工、農業、貿易関係などの大企業幹部が参加した。ヤクーツクを流れるレナ川を渡る橋建設への中国企業の参加も含めて盛んな対話が交わされた。しかし、こうした対話はあくまで対話で残っただけだ」ともある。

サハ拡大【サハ共和国】
 ウクライナ危機後にロシアがおかれた立場に対する懸念は、やはりサハからも出ているのだ。

 ここで話を「東アジアの地政学」から「レナ対話」のもともとのテーマであるサハ共和国の開発問題に移そう。

 そこには、今のプーチン大統領の体制でロシアの地方が抱えている問題が凝縮されているように見える。 ・・・ログインして読む
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筆者

大野正美

大野正美(おおの・まさみ) 朝日新聞記者(報道局夕刊企画班)

1980年、朝日新聞社入社。水戸支局、外報部、東京社会部などを経て、1986年からサンクトペテルブルクに留学、モスクワ支局勤務は3回計11年。論説委員、編集委員、国際報道部・機動特派員を経て、現在は報道局夕刊企画班。著書に『メドベージェフ――ロシア第三代大統領の実像』『グルジア戦争とは何だったか』(いずれもユーラシア・ブックレット、東洋書店)など。

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