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サハ共和国の夢とプリマコフ元首相の死(下)

連邦中央の政策に振り回されて

大野正美 朝日新聞記者(報道局夕刊企画班)

 ヤクーツクに滞在中、サハ共和国のヤクート民族が夏の訪れを祝う昔からの祭り「ウイスィアフ」が近郊で開かれた。短い夏の最も日照時間の長い6月下旬に人々が色鮮やかな民族衣装を着飾って、歌い踊り、人々の幸福を祈って火に祈りを捧げる。

「ウイスィアフ」の祭りで民族衣装を着て踊るヤクート人の若者たち=6月27日、ヤクーツク郊外のウス・ハティン地区で大野正美撮影拡大「ウイスィアフ」の祭りで民族衣装を着て踊るヤクート人の若者たち=2015年6月27日、ヤクーツク郊外のウス・ハティン地区で、撮影・筆者
 太陽の恵みを祝うこの祭りに象徴されるように、超寒冷な土地柄だがサハ共和国は日照時間がけっこう長いそうで、太陽光発電に力を入れている。共和国内に約120の発電ステーションを整備する計画もあるという。

 「サハ対話」でも、中国社会科学院の薛福岐・ロシア東欧・中央アジア研究所戦略研究室主任が、「太陽光エネルギーで果物や野菜をつくる産業も育つ。発電ネットワークを中国、韓国に広げてもよい」と太陽光に将来の発展の可能性を見ていた。

 しかし、サハ共和国は、太陽光に頼らずとも、パイプラインによる供給で中国と合意した天然ガスを生産するチャヤンダの巨大ガス田や、世界でも有数の石炭の埋蔵量を誇るエリガ炭田を持つのに、天然ガスや石炭を軸にした将来の発展計画を描いていない。

 ウラジーミル・ワシリエフ共和国連邦関係・対外関係相によると、発展計画の軸は共和国に豊富なダイヤモンドや金などの貴金属の採掘とその加工だ。

 ほかは太陽光発電や、魚などの食品加工業に期待をかけている。冶金コンビナートなどの工業を育てる構想もあるが、1年を通じて大量輸送が可能な輸送インフラが、首都ヤクーツクにつながっていないアムール・ヤクーツク鉄道に限られることがネックとなっている。

 そんな中で、ロシア産の99%がサハ共和国の10鉱山で生産されているダイヤモンドは、やはり特別な存在だ。 ・・・ログインして読む
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筆者

大野正美

大野正美(おおの・まさみ) 朝日新聞記者(報道局夕刊企画班)

1980年、朝日新聞社入社。水戸支局、外報部、東京社会部などを経て、1986年からサンクトペテルブルクに留学、モスクワ支局勤務は3回計11年。論説委員、編集委員、国際報道部・機動特派員を経て、現在は報道局夕刊企画班。著書に『メドベージェフ――ロシア第三代大統領の実像』『グルジア戦争とは何だったか』(いずれもユーラシア・ブックレット、東洋書店)など。

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