確定判決を無視する決定的違憲内閣
2015年08月19日
広島・長崎の原爆の日を前にして、参議院の質疑で、原爆被害者から見たらとんでもないことが判明した。
自衛隊が海外で行う「後方支援」という美名の下の「兵站」について野党が追及したところ、政府は、法律上、武器弾薬の輸送としてミサイルや戦車、化学兵器、毒ガス兵器に加えて、核兵器も可能と答えたのである。また、弾薬の提供についても劣化ウラン弾、クラスター爆弾と同じく核兵器も可能とした。
法律上は可能でも、実際には政府の総合的な政策判断によって、核兵器の輸送や提供は行わない、と政府は説明している。
安倍首相は衆議院予算委員会で山井和則・民主党議員の追及に対して、それは政策的にはありえず「机上の空論」だとして「私は総理大臣として核輸送はあり得ないと言っているのですから、間違いありませんよ!」(8月7日)と述べた。
しかも、安倍首相はその前日の広島の平和記念式典のスピーチで、自分自身の判断で非核3原則に対する言及を省いた。
批判を浴びて長崎のスピーチでは入れたものの、非核3原則にふれたくないという気持ちが働いたのだろう。
これを見れば、すでに武器輸出3原則は修正したのだから、同様に非核3原則に変更が加えられて、核兵器の輸送や提供を行うこともあり得ないことではないのである。
日本の平和憲法において、海外の戦地近辺で同盟国のために核兵器の運搬や提供を行うことが決して認められないことは、常識的に考えればわかるだろう。
それにもかかわらずこのような可能性が生じてくるのは、そもそも安保法制が決定的な違憲法案であり、それを強引に成立させようというのは憲法クーデターだからである(「『法的安定性』の破壊こそが『憲法クーデター』だーー『決定的違憲』の安保法制」WEBRONZA)。
多くの「クーデター」には、その予兆がある。
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