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[5]アイスランドが活かすニッポンの地熱発電

日本は「原発の添え物」でいいの?

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

 デンマークを出港した船は1週間後、ノルウェーのベルゲンを経てアイスランドの首都レイキャビクに着岸した。ここはもう北極圏の入り口だ。さすがに寒い。最高気温が8度だ。

入浴客でひしめくブルー・ラグーンの向こうには地熱発電所が湯気を上げ入浴客でひしめくブルー・ラグーンの向こうには地熱発電所が湯気をあげる=撮影・筆者
 市街地から南に40キロ行った岩場に、世界最大の露天風呂がある。

 露天風呂といえば日本の専売特許だと思いがちだが、とんでもない。

 日本で見られるようなこぢんまりとしたものではなく、サッカー場よりも広い5000平方メートルもの巨大な露天風呂が、この極北の島にあるのだ。

 露天風呂の名をブルー・ラグーンという。ラグーンとは潟やサンゴ礁の湖のことだが、こちらはゴツゴツした岩に囲まれた湯だまりだ。名前の通り、青い色をしている。いや、淡いエメラルド色といった感じだ。

 湯気がもうもうと立ち、200人以上の人が温泉を楽しんでいる。さすがに日本のような素っ裸ではなく、水着姿だ。

 入浴を楽しんでいる人たちの顔に白いものがついている。露天風呂の下に沈んだ白い泥を顔や腕につけると、すべすべした肌になる。この温泉は肌に良い効能があることが自慢だ。それにしても、なぜこんな露天風呂をつくったのだろうか。

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