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[5]アイスランドが活かすニッポンの地熱発電

日本は「原発の添え物」でいいの?

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

 デンマークを出港した船は1週間後、ノルウェーのベルゲンを経てアイスランドの首都レイキャビクに着岸した。ここはもう北極圏の入り口だ。さすがに寒い。最高気温が8度だ。

入浴客でひしめくブルー・ラグーンの向こうには地熱発電所が湯気を上げ拡大入浴客でひしめくブルー・ラグーンの向こうには地熱発電所が湯気をあげる=撮影・筆者
 市街地から南に40キロ行った岩場に、世界最大の露天風呂がある。

 露天風呂といえば日本の専売特許だと思いがちだが、とんでもない。

 日本で見られるようなこぢんまりとしたものではなく、サッカー場よりも広い5000平方メートルもの巨大な露天風呂が、この極北の島にあるのだ。

 露天風呂の名をブルー・ラグーンという。ラグーンとは潟やサンゴ礁の湖のことだが、こちらはゴツゴツした岩に囲まれた湯だまりだ。名前の通り、青い色をしている。いや、淡いエメラルド色といった感じだ。

 湯気がもうもうと立ち、200人以上の人が温泉を楽しんでいる。さすがに日本のような素っ裸ではなく、水着姿だ。

 入浴を楽しんでいる人たちの顔に白いものがついている。露天風呂の下に沈んだ白い泥を顔や腕につけると、すべすべした肌になる。この温泉は肌に良い効能があることが自慢だ。それにしても、なぜこんな露天風呂をつくったのだろうか。

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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) 国際ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。「九条の会」世話人。主著に『心の歌よ!』(シリーズⅠ~Ⅲ)『連帯の時代-コロナ禍と格差社会からの再生』『凛凛チャップリン』『凛とした小国』(以上、新日本出版社)、『世界を変えた勇気―自由と抵抗51の物語』(あおぞら書房)、『13歳からのジャーナリスト』(かもがわ出版)、『反米大陸』(集英社新書)、『燃える中南米』(岩波新書)など。公式HPはhttps://www.itochihiro.com/

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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