選挙や国会審議を通じての法改正が必須
2015年10月01日
安保法制が成立した。法案に明白な違憲部分があったにもかかわらず可決したこと、そして、その手続があまりに乱暴であったことは、とても残念だった。
(1)集団的自衛権の行使と憲法
筆者は常々、「集団的自衛権の行使が合憲だと主張するのは、ネス湖にネッシーがいると主張するようなものだ」と説明しているが、念のために、合憲論の主張がいかに破綻しているかをおさらいしておこう。
政府・与党は、最後の最後まで「(1959年の)砂川判決で集団的自衛権の行使は認められている」と言い張った。
しかし、この判決は、日本の「自衛の措置」として、アメリカ軍を日本に駐留させることは憲法違反でないと判断したに過ぎない。
日本が自ら「自衛権の行使」をすること、すなわち、対外的な武力行使を前提とする組織を編成して個別的自衛権を行使することの可否すら判断を留保している。
判例の読み方をきちんと習得した人ならば、砂川判決が集団的自衛権の行使を認めたと読むことは不可能だ。9月19日未明の参議院本会議で、自民党議員が砂川判決を持ち出した時は、議場のみならず、全国でため息が漏れた。
また、「憲法には集団的自衛権を禁止する条項はない」と主張する者もいた。しかし、憲法9条は武力行使のための戦力保有を禁じる。そして、集団的自衛権の行使が武力行使の一種であることは明らかだ。
素直に読めば、憲法9条が集団的自衛権の行使を禁止していると解さざるを得ない。集団的自衛権の行使が合憲だと主張するなら、憲法9条の例外を認める根拠条文を積極的に提示する必要がある。
しかし、そのような条文は発見されていない。「憲法に集団的自衛権という言葉は出てこない」ことは、合憲の根拠ではなく、むしろ
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