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集団的自衛権拡大で起きる国内テロのリスク(下)

容易に想像できる危険を回避するために

金恵京 日本大学危機管理学部准教授(国際法)

求められるのは国内外での対話

 前稿で述べたような北朝鮮への懸念も感じられる中、安倍首相は5月27日の衆議院特別委員会にて、北朝鮮のミサイル開発等を念頭に「このリスクを低減させていくということこそ、私たちの任務であります。この任務を背負って立っているのがまさに自衛隊の諸君であろう、こう思うわけでございます。当然、その中において日米の同盟を強化していく。そして、抑止力が高まっていくことによって、我が国が攻撃されるリスクは当然低減をしてくる」として、今回の法整備の必要性を説明している。

 また、別の答弁ではテロに対して「もはや一国のみで自国を守ることができる時代ではない」として、日米同盟や国際社会との協力を強固にすることが重視されると述べている。

 しかし、軍事的な同盟関係を強めれば、リスクが低下しテロが避けられるという認識は、前記のスペインやイギリス、あるいは韓国の事例を見ても両立しないことは明らかである。

 また、2014年10月に「イスラム国」空爆への参加を決定した後、国会議事堂への銃撃を含む2件のテロが発生したカナダの状況は改めて集団的自衛権とテロの関連を意識させられた。

 確かに、軍事同盟によりテロに対処し抑止力を高めるとの姿勢は、1980年代までに多く見られた政府高官や軍人を対象とするテロに対しては効果を発揮するかもしれない。

 しかし、現在のテロは

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