2015年10月22日
この7月末までに韓国国内に人道的な理由で在留を許可されたシリア人は621人である。これは日本の10倍以上であり、またそのほとんどが2012年のシリア内戦勃発後である。
「韓国はがんばっている」
そう思ったのは私だけではなく、日本の難民支援団体や難民問題に詳しい記者などからも同じような声を聞いた。たまたま別件でお会いした日本のチベット難民支援プロジェクト関係者も、韓国の取り組みに感心していた。
当初、韓国の難民政策は他の多くの政策と同様、「お隣の先進国・日本」にならったものだった。
それが民主化運動や北朝鮮からの脱北者援助などの経験を経て、2000年に入ってから独自の展開を模索することになる。
「アジア初の難民保護法」は難民問題における、その最初の成果ともいえる。
法案成立の契機となったのは、前回紹介した「ピナンチョ(避難処)」など市民団体からの提言だった。
市民団体の学習会で法案の原案が練られ、国連難民機構(UNCHR)や国家人権委員会を巻き込み、国会議員の手で立法府に持ち込まれる。市民運動、国際組織、政府機関が有機的に結びついた、理想的なリレーの形だ。「難民保護法」は2011年末に国会で可決され、翌2012年2月に公布された。
それはちょうどシリア内戦と時を同じくしており、前回も記した通り、その年から韓国におけるシリア人の難民申請が始まった。
ただ、韓国内の難民支援関係者の中には、自国政府の取り組みについて批判的な声もある。
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