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国民連合政府を超えた平成「維新」の実現を(上)

「平和への結集」の時は今

小林正弥 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学)

国会招集について全憲法学者の意見を調査せよ

 憲法53条に基づいて両院の野党議員の4分の1以上が正式に臨時国会召集要求を行った(10月21日)にもかかわらず、政府はそれを無視して閉会中審査で乗り切ろうとしている。

 これは明らかに憲法違反の非常事態である(「国会を開かないのは違憲の『非常事態』だ――臨時国会召集要求は憲政回復の『狼煙火』」になるか?」WEBRONZA)が、政府は過去にも先例があると強弁して臨時国会を開こうとしない。

 しかし実際には、10月に招集要求があったのに翌年の通常国会まで国会が召集されなかった例はないし、その年に通常国会しか開催されないこともなかった(南野森「安倍政権が臨時国会を開かないのは憲法違反である」)。自民党の憲法草案53条には「要求があった日から20日以内に臨時国会が召集されなければならない」とあるから、自分たちの憲法草案の規定にすら反する行動を取ろうとしているわけである。

 そこでこの是非を明らかにするために、野党やメディアは全憲法学者に問い、この政府の態度が合憲か違憲かについて意見を調査すべきだろう。

 安保法案の時と同じように圧倒的多数の憲法学者が違憲と答えるに違いない。これによって、今の政府は憲法を次々と蹂躙していることが明らかになるだろう。

本当の「維新」とは何か?

民主党・岡田克也代表(中央右)、共産党・志位和夫委員長拡大民主党と共産党の間を誰かが取り持つことはできるだろうか
 このことが明らかになれば、安保法案「可決」だけでは違憲政府になったと思わない人にも、本当に憲政クーデターが行われて政府が不法な「決定的違憲政権」となってしまったことがわかるだろう。憲法無視こそが専制政府の専制政府たる所以である。

 それではこのような事態を是正するためにもっとも大事なことは何か。

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筆者

小林正弥

小林正弥(こばやし・まさや) 千葉大学大学院社会科学研究院教授(政治学)

1963年生まれ。東京大学法学部卒業。2006年より千葉大学大学院人文社会科学研究科教授。千葉大学公共研究センター共同代表(公共哲学センター長、地球環境福祉研究センター長)。専門は、政治哲学、公共哲学、比較政治。マイケル・サンデル教授と交流が深く、「ハーバード白熱教室」では解説も務める。著書に『対話型講義 原発と正義』(光文社新書)、『日本版白熱教室 サンデルにならって正義を考えよう(文春新書)、『サンデル教授の対話術』(サンデル氏と共著、NHK出版)、『サンデルの政治哲学 〈正義〉とは何か』(平凡社新書)、『友愛革命は可能か――公共哲学から考える』(平凡社新書)、『人生も仕事も変える「対話力」――日本人に闘うディベートはいらない』(講談社+α新書)、『神社と政治』(角川新書)など多数。共訳書に『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』(ハヤカワ文庫)など。

 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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