頑丈さ、故障しづらさ、価格……防弾車、装甲車を徹底分析
2015年11月04日
IS(イスラミックステート/イスラム国)の宣伝ビデオに、トヨタのピックアップトラック「ハイラックス」と多目的スポーツ車(SUV)「ランドクルーザー(通称ランクル)」がよく登場する。これについて、米政府がトヨタに対して、ISがどういう経路で車を入手しているのか説明するよう求めている。
トヨタや日産のオフロード車輌に武器を搭載した、いわゆる「テクニカル」が世界の紛争地帯で使用されているのは70年代から見慣れた光景であり、何を今更という話である。
トヨタのこれらの車輌は世界中の防弾車のベースとして最も多く使用されている。
その顧客には国連や各国の警察、大使館などの公共機関も多いが、マフィアやギャングなど怪しげな顧客も含まれている。同様に、軽装甲車両のベースとしてもよく使用されている。
多少軍需産業に関わっている人間であれば、この程度のことは「常識」である。
米政府が今更ながらトヨタに事情を聞くというのは、何か政治的な意図があるものと思われる。例えば、同じような目的で使用されているフォードなどの米国自動車メーカーがトヨタの足を引っ張ろうという意図があるのかもしれない。
途上国の紛争を報じる新聞やテレビでは、たいていトヨタや日産など日本製のピックアップの荷台に機銃などを搭載した「テクニカル」と呼ばれる武装トラックに民兵、ゲリラなどが乗る写真や映像を目にすることが多い。
これは日本製の車輛が世界中にくまなく輸出され、しかも故障しづらいうえに、軍用車輛に比べて安価だからだ。つまりどこでも手に入り、便利で使い勝手がいいクルマだからだ。映画『ブラックホーク・ダウン』を見ればそれらがどのように使用されているかよくわかる。
民兵やゲリラだけではない。正規の軍隊でも戦闘用、非戦闘用を問わず日本製4×4が広く利用されている。その代表例がランドクルーザーだ。
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