この3年半を意義あるものとするために
2015年11月05日
3年半ぶりの日韓首脳会談が開かれたことは、日韓関係に携(たずさ)わるものとして喜ばしいの一言であった。
確かに、今回の首脳会談では、何か大きな進展が見られたという訳ではなく、共同宣言も発せられなかった。しかし、まずは首脳が同じテーブルに着き、議論を始めたということには一定の価値がある。
そうした働きかけを続け、期待と失望を繰り返した人からすれば、今回の会談は非常に感慨深い。
そして、何より民主主義をとる国において、半数を超える両国国民が長く望んでいたことが、ようやく実行されたという安堵感がある。
韓国の峨山(アサン)政策研究院が日韓国交正常化50周年に合わせて、韓国国内の成人男女1000人を対象に行い、6月に公表した世論調査では「安倍談話で歴史問題に対する反省が不十分でも韓日首脳会談をすべきか」という質問に56.3%が「首脳会談をすべき」と答えていた。
安倍談話に対して一定の評価がなされたことも考えれば、その後の韓国国内における気運の高まりは、日本でも理解可能なことと思われる。
日本のメディアの中には、経済的に厳しい状況におかれた韓国が、日本との協力の必要性を感じるようになったことが首脳会談開催の要因であるとの指摘もあった。
確かに、今年(2015年)の韓国の全輸出に占める中国の割合は25.7%であり(対日輸出は4.9%)、中国の成長が頭打ちになっている現在、そうした面も少なくはない。
しかし、2年ほど前から既に韓国においては首脳会談開催を望む人が多数派であったことを考えても、市民の声や多くの尽力の効果を見直す視点も欠かせない。そこで、首脳会談開催を妨げてきた背景を整理しつつ、今後の展望を検討したい。
筆者の日韓首脳会談に対する特別な思い入れを振り返ると
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