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[8]船内は毎日が学園祭!?

専門家による講座から運動会まで

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

 今回の船には1000人もの客が乗っていた。ほとんどすべてが日本人だが中国、韓国、米国、スペイン、オーストラリア人もいる。

 いつものクルーズでは20~30代の若者が3割くらいいるが、今回は約80人で1割にも満たない。乗客の大半が60歳以上だった。退職の記念に乗った夫婦や長年連れ添った相手に先立たれ遺影とともに乗った人もいる。最高齢は90歳で、最年少は1歳だ。入学前の幼児が8人いた。このほかにクルーが400人いる。まるで一つの村のようだ。

 105日間の船旅といえば、毎日が日曜日で退屈なように思いがちだが、船内生活は実は忙しい。いわば毎日が月曜日のようだ。

早朝、デッキでのノルディック・ウオーキングの準備体操をする人たち拡大早朝、デッキでのノルディック・ウオーキングの準備体操をする人たち=撮影・筆者
 夜になると次の日のスケジュールを書いた船内新聞が船室に配られる。

 B4版1枚だが、裏面はまるで新聞のテレビ欄のようだ。船内の劇場やバー、広場、デッキなど船内の15か所でそれぞれ早朝から夜まで何が行われるか、番組表のように細かく書かれている。

 たとえば6月21日を見よう。

 日の出から30分間、デッキで「世界の朝日を日本へ送ろう!」という催しがある。水彩画でハガキに朝日を描くのだ。5時15分からはヨガだ。6時には太極拳が始まり、6時半にはラジオ体操、さらにノルディック・ウォーキングと続く。

 同じころ船内では社交ダンス、ウクレレ教室が開かれている。ピースボートのスタッフが指導するものもあるが、乗客が主宰して興味ある乗客が参加する自主企画の催しが多い。和太鼓、カラオケ、詩吟同好会、水彩画教室など多彩だ。いわば毎日が学園祭のようだ。

 昼間、船内をまわると、200人が入る7階のラウンジはコンサートの練習中だった。8階前方の劇場では次の寄港地の説明会が、中央の広場ではビジネス講座、後方のホールではパソコン教室や英会話教室が開かれていた。デッキでは年配者がテニスを、若者は野球を楽しむ。麻雀や囲碁には人だかりがしている。

缶ビールは日本の半額以下

 こうした趣味の会は数多いが、ピースボートが力を入れるのは

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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) 国際ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。主著に『凛凛チャップリン』『凛としたアジア』『凛とした小国』『9条を活かす日本―15%が社会を変える』(以上、新日本出版社)、『世界を変えた勇気―自由と抵抗51の物語』(あおぞら書房)、『13歳からのジャーナリスト』(かもがわ出版)、『地球を活かす―市民が創る自然エネルギー』(シネフロント社)、『反米大陸』(集英社新書)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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