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「習馬会」は中国・台湾統一への一歩かもしれない

将来「統一される」と予測する「台湾人」

藤原秀人 フリージャーナリスト

 中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が11月7日、初めて会談した。中国メディアが「習馬会」、台湾メディアが「馬習会」とそれぞれ呼ぶ今回のシンガポール会談。

 蔣介石総統率いる中国国民党政府が中国共産党との内戦に敗れ、1949年に台湾に逃れてから初となる首脳会談開催の発表には驚いた。

 武力で台湾を統一する可能性を捨てない中国のトップが、「中華民国」こそ中国の「唯一の合法政府」であり「自由中国」と「共産中国」は「漢賊並び立たず」と言ってきた台湾のトップと並び立ったのはやはり歴史的だ。

中国の習近平国家主席(右)と台湾の馬英九総統=7日午後、シンガポール拡大中国の習近平国家主席(右)と台湾の馬英九総統=シンガポール

 両首脳は会談で「一つの中国」の原則のもと、経済や文化の交流を拡大することを確認した。目新しいことではないが、タイミングが絶妙だった。

 馬氏は2008年に総統に就任してから中国との関係改善に努めてきた。その馬氏は来年(2016年)5月に任期を終える。

 後任を選ぶ1月の総統選挙に向けては、野党・民主進歩党の蔡英文主席が各種調査で国民党候補の朱立倫・党主席をリードしている。独立志向の民進党が政権を握れば、両岸関係は後退するかもしれない。

 そう見た中国側は、対話のレベルを一気に上げて、台湾の次期政権への圧力にしようとしたのだろう。

 中国との関係を重視してきた馬氏にとって、首脳会談実現は数年来の夢だった。

 中国は首脳の肩書にこだわらず、対等の立場を強調するため「さん」という意味の「先生」という呼び方での会談に踏み切った。中国の国民感情からすれば大きな妥協だったが、習氏の分厚い権力基盤がそれを可能にした。

国家主席でも総統でもなく、「指導者」として

 両岸急接近は台湾も領有権を主張する南シナ海情勢に ・・・ログインして読む
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筆者

藤原秀人

藤原秀人(ふじわら・ひでひと) フリージャーナリスト

1980年、朝日新聞社入社。外報部員、香港特派員、北京特派員、論説委員などを経て、2004年から2008年まで中国総局長。その後、中国・アジア担当の編集委員、新潟総局長などを経て、2019年8月退社。2000年から1年間、ハーバード大学国際問題研究所客員研究員。

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