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[9]非行に走らず音楽に走ろう――ベネズエラ

「犯罪よりも楽しいことを用意すればいい」

伊藤千尋 フリー・ジャーナリスト

 北欧からノンストップで一挙にやってきた南米大陸。着いたのはベネズエラだ。その昔、コロンブスに続いてやってきたスペインの航海者が「水の都イタリアのベニスに似ている」と言ったことから「小さなベニス」という意味の国名となった。

 南米で一番の石油大国だが、かつては貧富の差が激しかった。石油の利権に群がる者は大金持ちになり、その他は貧民のまま捨てられたからだ。

 だが1999年にチャベスが大統領に就任してから一変した。対外的には反米政策を、国内では貧富の差を無くすことを掲げて社会改革を進めている。いわば日本の安倍政権とは真反対の政治を行っているのだ。その現場を見た。

 寄港したのはカリブ海に面したラグアイラという港町だ。真っ先に目にしたのはきれいに整備された港湾のクレーン群で、「上海振華重工」と記してある。かつて中南米の港湾施設は三菱重工業など日本の企業の独壇場だったが、今や中国企業がとって替わった。

 熱帯だけに暑いが、最高気温は31度で最低が20度だ。朝晩の気温差があるので、早朝や夜はとても涼しく感じる。ここは熱帯だが夜は「温帯夜」だ。クーラーをつけると寒いほどである。日本の夏の熱帯夜からすると、どちらが熱帯なのかと不思議に思える。

生活必需品が4割安い貧民地区

 バスで首都カラカスに行った。高速道路を40分走った標高1000メートルほどの山の中にあり、いわば軽井沢のような地だ。日差しは強いが、空気が乾燥しているのでとてもしのぎやすい。

 市街地の周囲に小高い丘がいくつもそびえる。斜面にはびっしりとブロックやレンガ造りの小さな家がへばりつくように建っている。ランチョと呼ばれる貧民地区だ。 ・・・ログインして読む
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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) フリー・ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。著書に『地球を活かすー市民が創る自然エネルギー』『活憲の時代』『変革の時代』『ゲバラの夢、熱き中南米』(以上、シネフロント社)、『一人の声が世界を変えた』『辺境を旅ゆけば日本が見えた』(以上、新日本出版社)、『世界一周 元気な市民力』(大月書店)、『反米大陸』(集英社新書)、『観光コースでないベトナム』(高文研)、『闘う新聞ーハンギョレの12年』(岩波ブックレット)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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