非常任理事国になる日本ができること
2015年11月26日
日本が今できることは、中東各地の紛争を政治的に解決する方法を外交で後押しすることだ。この地味で、ありきたりで、新味に欠ける努力を一生懸命に創造的に尽くすこと―――それも、日本で何かが起こる前に。
パリでの同時多発テロ事件を受けて、フランス政府は、国内でのテロ分子の取り締まりを集中的に行っている。同時に、シリアにある「イスラーム国」の拠点に対して空爆を強化した。
万が一、このような事態が日本で起こった場合、国内での取り締まり強化は可能だが、軍事的な反撃という選択肢は考えづらい。自衛隊がシリアに空爆することは難しいだろう。
とすると、他国の対テロ支援を強化したり、関連する分野への援助や予算を増額させたりといった方法になる。これは、今年(2015年)初めに邦人がシリアで殺害された際、すでに日本がとった措置である。つまり、同じ手を打つことになる。
あまり報じられていないが、フランスでのテロの1週間後(11月20日)にイエメンでも自爆テロと銃撃事件が起こり、「イスラーム国」を名乗る組織が犯行声明を出した。
同じ金曜日にあたる犯行であること(金曜日はイスラーム教の礼拝日)、自爆と銃撃を組み合わせた手法であることを考えると、フランスでの事件を意識したものかもしれない。
ただ、イエメン治安筋は、「イスラーム国」の犯行ではなく、同国に潜伏する別の組織「アラビア半島のアル=カーイダ」によるものではないかとの見方を示している。
かりに「イスラーム国」の犯行だとしても、パリの事件とは異なり、シリアの本部で綿密に計画されたものというよりは、イエメンで「イスラーム国」への忠誠を誓う組織が独自に実施したものだと思う。
自称「イスラーム国」組織は、エジプトやリビアにもいる。こうした集団がフランスでの事件に呼応して各地で事件を起こす可能性はある。また、個人や少人数の知り合いグループによる犯行ももはや珍しくない。
現在、シリアもイエメンも、政府が自国領土を管理しきれていない。誰が政治指導者なのかについても対立がある。外国の介入もある。これでは、テロ対策どころではない。その混乱の中から、難民や暴力が噴出している。
強調したいのは、この2つの紛争
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