DVが日常茶飯事の国に日本政府ができること
2015年11月30日
「夫を逮捕してほしい」
アリスさん(仮名)はパプアニューギニアの警察に4度も訴えました。2011年に結婚したアリスさん。でも数カ月が経つと、夫が暴力を振るうようになったからです。
夫が職場に現れて暴力を振るうまでになり、アリスさんは仕事も失ってしまいました。2013年には自動車の陰に引きずりこまれジャッキで殴られ、夫が仕事で携帯しているピストルの握りで頭を殴られ……3度の訴えにも、警察は門前払い。4度目の申し立ては、一応受理はされたものの、結局夫は逮捕されませんでした。
「それで思い知らされました。どうせ助けてなんてもらえない。もうどうしようもないんだって。この世の終わりだって何度も思うんです」
アリスさんの身に起きたことはパプアニューギニアではありふれたものです。この国ではDV=ドメスティックバイオレンスが日常茶飯事となっているからです。
パプアニューギニアでは2013年、「家族保護法」が成立しました。厳しい罰則を新設し、被害者が保護命令や支援を得やすい仕組みにしました。
しかし2年を経ての今もなお、この法律はまったく使われていません。規則を作るのが先だというのが政府の言い分です。しかし政府が手をこまねく一方で、被害が止むことはありません。
私たちヒューマン・ライツ・ウォッチは今回の報告書作成にあたり、未成年者を含むDVのサバイバー数十人から話を聞きました。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください