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[10]世にも珍しい船に、もろびとこぞりて……

日本の若者が創造した、異彩を放つNGO

伊藤千尋 国際ジャーナリスト

 ピースボートは、日本で生まれた世界で特異なスタディツアー型の国際NGOだ。船で世界を旅しながらみんなでいっしょに国際問題の現場を見て回る。1983年に発足してからこれまで、乗船した人々は5万人を超える。

 「みんなが主役で船を出す」と「過去の戦争を見つめ未来の平和を創る」をキャッチフレーズに、「すべての人がクルーズの創り手」の精神で船旅をしてきた。

 教科書問題から出発した初期のアジアを巡る海上ではベトナムのボートピープルに遭遇した。1991年に開始した最初の世界一周航海は湾岸戦争に重なり、米軍とイラク軍がミサイルで攻撃し合うアラビア海を航海した。

 世界一周の豪華客船の旅といえば大金持ちしかできないと思われていた時代に、庶民どころかカネを持たない若者にさえ夢をかなえさせた意義は大きい。日本人離れした発想とその現実化は、世界のNGO活動の中でも異彩を放っている。

ベネズエラで和太鼓の演奏後にあいさつする「千ちゃん」(中央)=6月22日、カラカスで.拡大ベネズエラで和太鼓の演奏後にあいさつする「千ちゃん」(中央)=2015年6月22日、カラカスで。 撮影・筆者
 今は長さが200メートルを超す、3万5000トン、定員約1400人のデンマーク製大型船で、年に3回ほどの世界一周クルーズのほか、合間にアジア地域のショートクルーズも行う。

 今回のクルーズは105日間の旅で、寄港地は25か所だった。

 横浜を出港してシンガポールに寄港しスエズ運河を通って地中海に入り、北欧諸国をすべて回ったあと南米を経由しパナマ運河をわたって太平洋に抜け、ハワイを経て日本に帰った。私はそのうちの40日をともにした。

個性豊かな乗客とスタッフ

 寄港地それぞれでワクワクする収穫があったことは連載で書いたが、いっしょに乗った乗客やスタッフも個性豊かで魅力的な人が多かった。

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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) 国際ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。主著に『凛凛チャップリン』『凛としたアジア』『凛とした小国』『9条を活かす日本―15%が社会を変える』(以上、新日本出版社)、『世界を変えた勇気―自由と抵抗51の物語』(あおぞら書房)、『13歳からのジャーナリスト』(かもがわ出版)、『地球を活かす―市民が創る自然エネルギー』(シネフロント社)、『反米大陸』(集英社新書)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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