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イスラム連載を始める

 2006年4月、カイロ勤務を終えて東京に戻り中東担当の編集委員になった。編集委員の仕事は、中東で何か大きな動きがあれば、解説記事を書きつつ、テーマを決めた連載を企画することだった。

 しかし、それまでひたすら中東の現場を歩いて報道してきたことを考えれば、日本と中東の距離は大きすぎると感じた。

 確かにインターネットを通じて、中東の動きは同時進行で入ってくる。だが、これまでに繰り返し書いたように、中東で表に出てくる情報は、非常に限られたものでしかなく、実際に何が起こっているかは現地にいなければ分からない。

 私は2007年4月から「イスラムは、いま」という夕刊連載を提案した。9・11米同時多発テロやイラク戦争とその後の混乱、中東和平の混迷などの下で、イスラム社会で何が起こっているのかに焦点を当てようと考えた。

 連載は1週間で5本(後に4本)の記事で構成された。各連載は、1カ所または1国とし、それぞれ一つのテーマに絞ろうと考えた。

 「イスラムは、いま」は、次のようなタイトルで連載を続けた。

(1) 「隣のムスリム」 日本 2004年4月 5回
(2) 「社会のかなめ」 エジプト 2007年5月 5回
(3) 「同胞団の挑戦」 エジプト 2007年6月 5回
(4) 「変化のなかの女性」 ヨルダン 2007年8月 5回
(5) 「ハマス支配」 パレスチナ自治区ガザ 2007年10月 5回
(6) 「政教分離の国で」 トルコ  2007年12月 5回
(7) 「9・11のあとで」 サウジアラビア 2008年3月 6回
(8) 「シーア派の聖都」 イラク・ナジャフ 2010年1月 5回
(9) 「スンニ派の権威 アズハルから」 エジプト 2010年3月 5回
(10) 「聖地エルサレムから」 イスラエル・パレスチナ 2010年6月 4回
(11) 「ムスリム同胞団はいま」 エジプト 2011年7月 4回
(12) 「バーレーン報告」 バーレーン 2010年11月 4回

 12のテーマで、計58本となる。取材期間はそれぞれ2週間で、サウジアラビアだけは連載以外の取材もあり3週間とった。

日本に住むイスラム教徒の姿

愛知県安城市で多くのインドネシア人が通うモスク=2007年3月、撮影・筆者拡大多くのインドネシア人が通う愛知県安城市のモスク=2007年3月、撮影・筆者
 第1回目は、まずは身近なイスラムからということで、日本に住むパキスタン人、バングラデシュ人、インド人、インドネシア人などイスラム教徒を扱い、「隣のムスリム」というタイトルにした。

 私自身、日本に住むイスラム教徒の事情を取材するのは初めてだった ・・・ログインして読む
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筆者

川上泰徳

川上泰徳(かわかみ・やすのり) 中東ジャーナリスト

長崎県生まれ。1981年、朝日新聞入社。学芸部を経て、エルサレム支局長、中東アフリカ総局長、編集委員、論説委員、機動特派員などを歴任。2014年秋、2度目の中東アフリカ総局長を終え、2015年1月に退職し、フリーのジャーナリストに。元Asahi中東マガジン編集人。2002年、中東報道でボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『シャティーラの記憶――パレスチナ難民キャンプの70年』(岩波書店)、『イラク零年――朝日新聞特派員の報告』(朝日新聞社)、『現地発 エジプト革命――中東民主化のゆくえ』(岩波ブックレット)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店)、『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版)、『「イスラム国」はテロの元凶ではない――グローバル・ジハードという幻想』(集英社新書)など。

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