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著書『柔らかな海峡』執筆後記(上)

ベストセラー1位の意味

金恵京 日本大学危機管理学部准教授(国際法)

“Shoot Niagara”

 アメリカのことわざで、直訳すれば「ナイアガラの滝から飛び降りる」というものがある。意味としては、「清水の舞台から飛び降りる」と同じと考えてもらえれば分かり易い。

 昨年(2015年)末、私は集英社インターナショナル関係者の方々と、そんな思いを胸にWEBRONZAでの論考を中心にまとめた著書『柔らかな海峡――日本・韓国 和解への道』を刊行した。

 このところ、東アジア関連の書籍は「嫌韓嫌中」の立場をとる本が売れており、友好を願うような本は売れないというよりも、そもそも殆ど刊行されていなかった。

同申請書への調印を終え、記念撮影をする日韓の関係者=1月29日、長崎県対馬市拡大朝鮮通信使の世界記憶遺産への共同申請書への調印を終えた日韓の関係者。文化の面での日韓交流は進んでいる=2016年1月29日日、長崎県対馬市
 そのため、敢えて売れない可能性の高い本を出すというのは、書き手であれ、出版社であれ、思わず尻込みをする状況が存在したのである。
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筆者

金恵京

金恵京(きむ・へぎょん) 日本大学危機管理学部准教授(国際法)

国際法学者。日本大学危機管理学部准教授、早稲田大学博士(国際関係学専攻)。1975年ソウル生まれ。幼い頃より日本への関心が強く、1996年に明治大学法学部入学。2000年に卒業後、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程に入学、博士後期課程で国際法によるテロリズム規制を研究。2005年、アメリカに渡り、ローファームMorrison & Foester勤務を経て、ジョージ・ワシントン大学総合科学部専任講師、ハワイ大学東アジア学部客員教授を歴任。2012年より日本に戻り、明治大学法学部助教、日本大学総合科学研究所准教授を経て現在に至る。著書に、『テロ防止策の研究――国際法の現状及び将来への提言』(早稲田大学出版部、2011)、『涙と花札――韓流と日流のあいだで』(新潮社、2012)、『風に舞う一葉――身近な日韓友好のすすめ』(第三文明社、2015)、『柔らかな海峡――日本・韓国 和解への道』(集英社インターナショナル、2015)、最新刊に『無差別テロ――国際社会はどう対処すればよいか』(岩波書店、2016)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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