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[7]熊本地震に思う。九州と韓国の特別な関係

韓国人へのデマや中傷は、九州の人々の努力をも無にする行為

伊東順子 フリーライター・翻訳業

20年前の韓国のテレビ番組と、南阿蘇鉄道への祈り

 まずは亡くなった方々へ黙祷を捧げたい。

 そして、何もできないけれど、祈りを込めて書こうと思う。南阿蘇鉄道の話だ。

 韓国で南阿蘇鉄道を紹介する番組を作ったのは20年前のことだった。シリーズ名は「汽車に乗って世界旅行」(KBS、1996~97年)、第1回目が日本の九州だった。

第一白川橋梁を渡る南阿蘇鉄道のトロッコ列車「ゆうすげ号」=南阿蘇村立野2012年拡大第一白川橋梁を渡る南阿蘇鉄道のトロッコ列車「ゆうすげ号」=南阿蘇村立野、2012年
 あのエリアをテレビで紹介するのは、韓国では初めてだった。

 JR九州とのタイアップもあったのだが、この第3セクターは私の希望で無理やりねじ込んだ。

 ローカル線を守り、そこに寄り添って暮らす日本人がいることを、韓国の人々に知って欲しかった。

 偶然ながら、始点・終点の高森駅には友人の姉が嫁いだ酒蔵があり、そこも取材させてもらった。

 南阿蘇鉄道は今回の地震で全線が不通になっている。始点・終点の立野駅がある南阿蘇村の大きな被害が伝えられる一方、高森駅がある高森町についての報道は少ない。

 4月17日の国土交通省の発表では「南阿蘇鉄道の高森線では、立野~長陽間のトンネル内壁においてひび割れや、橋梁にも変状などが認められるも詳細不明」とあった。

 ネットで情報を集めているうちに、ふと気になって韓国のポータルサイトで「南阿蘇鉄道」を検索してみた。すると、この鉄道のことを書いた韓国の人たちの旅のブログがたくさん出てきた。

 「韓国に帰って来たのに、またすぐにでも行きたい」

 ブログには車内や沿線駅での記念写真があり、そこには南阿蘇の旅を楽しむ韓国や地元の人々の笑顔があった。廃線の危機が何度もあった南阿蘇鉄道が頑張れたのは、こんな見えない応援が力になったのかもしれない、と思って、調べたら予想通りの新聞記事が出てきた。

 「熊本)外国人乗客3倍増 南阿蘇鉄道の黒字に貢献」

 この朝日新聞の記事によれば、外国人乗客のほとんどが韓国と台湾からの観光客だとある。

番組スタッフと元国鉄職員

 「韓国の人は ・・・ログインして読む
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筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『もう日本を気にしなくなった韓国人』(洋泉社新書y)、『ピビンバの国の女性たち』(講談社文庫)等。

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