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 半世紀にわたる軍政が終わるというのに市民が平静なミャンマーで、ひときわあわただしく興奮に包まれていたのが、新政権を担う国民民主連盟(NLD)の本部だった。

 「え? ここが……」と思うほど質素だ。2階建てで、通りに面した1階は一見、小さな雑貨屋風のたたずまいである。

 今や一国の政権を担う党とはいえ、つい最近までは、政府からにらまれる反政府派の人々のたまり場にすぎなかった。

 入り口近くに党のバッジや党旗などを売るガラスケースが置いてある。奥にはテーブルがありプラスチックの椅子がいくつか、ぶっきらぼうに置いてある。

拍手するNLD集会の参加者たち拡大拍手するNLD集会の参加者たち=ヤンゴンのNLD新本部で 撮影・筆者
 政党のオフィスとわかるのは、壁の展示だ。

 アウンサンスーチーさんや父親のオウンサン将軍の特大の肖像写真が貼ってある。

 スーチーさんの写真の周囲を、赤地に白い星と黄色い「闘うクジャク」の党のシンボルマークのシールが取り巻く。

 そのまま隣の新築中の建物に入るよう促された。

 新しい本部を建設していてまだ内装工事の途中なのだが、すでに使っている。

 人々に押されるようにして階段を上がると、4階は薄いオレンジ色の伝統服を着た100人近い党員で埋まっていた。

 正面にはNLDの党旗を背に、最高顧問のティンウー氏ら幹部5人が並ぶ。各国の外交官が前列を陣取る。私は押し出されるようにして2列目に座った。目の前に中国大使館から贈られた花束が飾ってある。

軍にクギを刺す

 この日は国軍記念日で、それを記念する集会がこれから開かれる。民主主義の党であるNLDが国軍の記念日を祝うのには理由がある。 ・・・ログインして読む
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筆者

伊藤千尋

伊藤千尋(いとう・ちひろ) フリー・ジャーナリスト

1949年、山口県生まれ、東大法学部卒。学生時代にキューバでサトウキビ刈り国際ボランティア、東大「ジプシー」調査探検隊長として東欧を現地調査。74年、朝日新聞に入社し長崎支局、東京本社外報部など経てサンパウロ支局長(中南米特派員)、バルセロナ支局長(欧州特派員)、ロサンゼルス支局長(米州特派員)を歴任、be編集部を最後に2014年9月、退職しフリー・ジャーナリストに。NGO「コスタリカ平和の会」共同代表。著書に『地球を活かすー市民が創る自然エネルギー』『活憲の時代』『変革の時代』『ゲバラの夢、熱き中南米』(以上、シネフロント社)、『一人の声が世界を変えた』『辺境を旅ゆけば日本が見えた』(以上、新日本出版社)、『世界一周 元気な市民力』(大月書店)、『反米大陸』(集英社新書)、『観光コースでないベトナム』(高文研)、『闘う新聞ーハンギョレの12年』(岩波ブックレット)、『燃える中南米』(岩波新書)など。

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